ブログネタ
手づくりハンバーガーの店 に参加中!
遅ればせながら先日の一の酉をシリーズで断続的にお届けしようかと。
最近は商売していても縁遠い方もいるようだけど、自分がリンクさせてもらってるブログには、酉の市の話題が多くて本当に嬉しい。手前が商売を始める前から、夏祭りの数々よりも断然盛り上がってしまう程、酉の市というのは1年を締めくくる特別なもの。それが、商売を始めて、直接の参加者になれるという喜びを、この1年しっかと噛締めている。
とはいえまぁ、熊手買って、テキヤの屋台冷やかすだけなんだけど。とはいえ、酉の市やるところってのは花街とか三業地が多いこともあって、散策にも大変興味深く、普段気軽に立ち寄れない空気のエリアでも、比較的近づきやすいという利点もある。
そういう場所で、地元の方が集うだけあって、あの異様なテンションは一種のトランス的効果がある。クリスマスはもとより、ハロウィンなんていう自分の子供の頃には全く馴染のない風習にはどうも馴染めない身としては、実にしっくりくる空気に満ちた空間。こういう戻れる場所というのはなくなっては困ってしまうのだ! と力説しておかないと、これからの記述がハレの日におこっていることを理解していただけないような気がしてならないもんで。。。

というわけで、こういう日は朝から晩まで好きなこと尽くめにしてしまう。先ずはずっと課題だった、取り壊しが決定したという日比谷の三信ビル内にあるニュー・ワールド・サービス(以下NWS)!
創業は1948年と古く、ここの名物であるハンバーガーは、進駐軍から伝授されたという。ある話だと、日本ではじめてのハンバーガーといわれているものは全国に幾つかあり、その殆どが1950年以降とされていることから、もしかしたらここが国産1号のハンバーガーとなるかもしれない、ということらしい。
実は、所謂チェーン以外でハンバーガーを食べた記憶というのは、ここと、小学生時分に近所にあったハンバーガー専門の個人店くらいなもの。その子供のときに食べた代物は、チェーンのそれのような、バンズとパティ一体感がない、それぞれに独立した味わいをもつもので、美味しいというより、手づくり感に溢れる変わった味だなぁと思ったものだ。NWSで初めてここのハンバーガーを食べたとき、その時のことがフと思い出された。

NWSハンバーガーそれがこの特製ハンバーガー(飲み物とセットで¥800)!
見た目からして見事に要素がバラバラでしょ!? 一応ケチャップや塩コショウなんかも卓上に運ばれるのだが、もう無視。玉ねぎを挟んで軽く押して素手でガブリッ。
子供の頃と違ったところといえば、それぞれの要素を心底旨いと思えるようになったこと。パティはモロにハンバーグ。肉汁は溢れるって感じではないのだけど、コロッとしたミンチ感があって、肉の食感が生きている。バンズはハードな焼き上がりでフワフワしてないけど、パティとのコントラストがあって一緒に食べると独特の食感を感じられる。トマト・レタス・オニオンと、それぞれフツーのものがただあるだけなのだが、そのなんにもしてないところが、ストレートに味わい深く、全てを一緒くたに噛締めたときのバッキリとした歯ごたえと、間から染みるトマトの汁がなんともたまらない。
付け合せのポテトもホクホクで、時間がたってもへばらず硬くならずで優秀。

他に比較がないので褒め過ぎかもしれないが、ストレートに素朴な味ってのに弱いからもうどうしようもない。それに当時はさぞモダンだったろう薄暗く、本当に歳月を重ねていないと出てこないレトロの空気のなかで食べられるのだ、その火が消える前に食べられる幸せを味と思っても罰は当らないのではないか。
そしてなんといっても、この店のコアは店主と思しき立派な紳士。何度か来てもいつも入口で丁寧に迎えてくれる。正直「大丈夫かい!?」と思えるほど覚束ないところもあるが、この方がいて初めてこの店の空気が生まれている、そんなオーラを放っている。今日はじめて昼時に入り、サラリーマンの定食屋と化した大混乱の店内を目の当たりにしたが、どんなに厨房がてんやわんやでも、この店の空気は変わらなかった。いやはや、適わない。
帰り間際、久々に来店の顔なじみが来たようで、紳士が「潰れる間際に来てくださって…」といっていたのが、なんとも言葉がないが、印象的だった。
今日も今日とて、これまた年代もののレジスターで会計をしてくれて、丁寧な見送りで店を後にした。
実はこの後『TAKESHIS'』の劇場の指定席を取っていて、上映直前だったので建物自体の撮影はまた今度ということにした。一部テナントの撤退も出てきているが、06年3月までになんとか撮影に来よう。

タイムリミットを噛締めて・・・ごちそうさまでした。美味しかったです。

NWS外観New World Service
最寄駅:日比谷
料理:ハンバーガー / 定食・食堂 / 喫茶店 / バー・カフェバー / ケーキ
採点:★★★★★
一人当たりの支払額(税込み):1,000円以下
用途:昼食

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