毎度毎度の献本書評だが、今回は漫画家田中圭一のイラストってだけで読んじゃいやした。

失敗しない大学デビュー 増補改訂版
  • 田中圭一_::_ひぐちゆうじ
  • 飛鳥新社
  • 1000円
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書評


ドクター秩父山 (ぶんか社コミックス)神罰―田中圭一最低漫画全集 (Cue comics)田中圭一といえばオールドファンには『ドクター秩父山』、昨今では『神罰』に代表される大御所漫画家をパロディにした神への冒涜に近い作風で知られるが、なんにしてもこの人の手にかかれば下ネタになってしまう。
ドクター秩父山だっ!! (ぶんか社コミックス)『ドクター秩父山』では掲載誌の都合で余りきわどいネタは封じられたが、続編の『ドクター秩父山だ!』では下ネタフルスロットル。それが逆に暴走気味と看做され、嘗てのファンが離れる程だったが、本著ではやや『ドクター秩父山だ!』寄りの「そのまんまだろ!」ってな下ネタマンガっつーかイラストっつーのが大きく掲載されている。従って・・・電車で読めんだろ、これ。

バカドリル (扶桑社サブカルPB)タイトルからして大学生活へ向けてのHOW TOが想像されるが、まずパラパラとページを繰った感じでは、てっきり大学デビューをネタにした、『バカドリル』【概要】的な内容だと思い込んでしまった。
しかし本文を読み進むと、お堅い内容でないとはいえ、これから大学生になる人間へ向けた内容にはなっていたのだ。文章にイラストがあっていないというか、完全に乖離してしまっている。
大学生とは、大人とも子供ともつかないが故に、猶予されたモラトリアム生活の中で、学業ほったらかしで、コンパや学祭、バイトに明け暮れ、金やSEX、ギャンブルなどで「やらかし」てしまうものだ。その「やらかし」の実例や、やらかさないための手立て、「やらかし」てしまいがちなシチュエーションが書かれている。まぁ大抵が性にまつわる話なのだけど。
この手の話ってのはバブルの頃くらいからよく耳にしたし、それこそ「オールナイトフジ」とか、雑誌「POPEYE」「Hot-Dog PRESS」の世界から全く進歩していない。小手先の語句が一部変わっただけで、あの頃語られた文脈とほぼ一緒。これを読んでなんらの目新しさも感じられなかった。
一部体験談的なものも挿入されているが、筆者の周りの人間の話をテキトーに載せているだけで、沢山の人間から聞き込んだわけでもデータをとっているわけでもない。主観的エッセイの様相ばかりが目立ち、客観的な教示はみられない。

失笑が思わず漏れる田中圭一のイラストが面白いだけに、ギャグならギャグにした方がよかったと思う。しょーもないネタのオンパレードでも、そこから垣間見れるものの方が、却って真実味を帯びるというものだ。
そうか、田中圭一マンガ版を書いてもらえばいいんだ! それだったら絶対オモシロイわ〜

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