今回は昨年末に出た拙ミニコミ誌最新号『台東定食遺産』掲載店なので、買って頂いた方には申し訳ないが、未掲載ネタもあるので許されたい。
というのも、本誌は現在手元に在庫がなく、委託先でも納品した分がなくなり次第終了という状況で、有難いことこの上ない。最後に追納した東京堂書店と書泉グランデ(両店とも神保町)には数冊まだあると思うが(乞う確認)、GW中に弊店にお買い求めにお越し頂いた方がいたので、申し訳ない想いから、ちょっとずつ、ネタを小出しにしようかと【委託先情報】
再販は今のところしない方向。200冊以上刷らないと赤字だし、それだけ再販しても出ないと多額のロスに在庫地獄が待っているので、そのうち電子書籍という形で再販を考え中。動くようだったらバックナンバーを徐々にALL電子書籍化にするつもりっす。このほうが在庫抱えなくて済むので場所とらないし、安く頒布できるし、なによりオールカラーだしね。

テメェの都合はともあれ、掲載店の中から、東上野は稲荷町の喫茶店をば。

外観@フレンドフレンド
【食べログ】は後日登録します
★★★★☆ 4.5
所在地:東京都台東区東上野3-33
参照ブログ:
ナポリタン×ナポリタン
マツタケ喫茶店


古くからの意匠が残る地下鉄銀座線の稲荷町駅スグ、如何にも町場の喫茶店という佇まいに、ショーウィンドーが目を引く。
ディスプレイ@フレンド
実はこの先にある喫茶店が調べ物をしていたら引っかかったので行った所、こっちの方が目当てに近かったってワケ。
扉メニュー@フレンドで、外観もさることながら、まずもってランチメニューの掲示が目を引く。

ハンバーグ!オムレツ!しょうが焼き!

どこに嫌いなものがあろう。この潔さ、どげんかせんといかん!

回避不能というわけで勢いよく入店。間口は狭いとは思ったが、奥行きもあまりない。入って左手の席は3つ分の椅子を繋げて向かい合わせたようなゆったり設計だが、右手は小さめの向かい合う2人掛けのテーブルが4つほど並ぶだけで、実質5人ほどで一杯な感じ。
店内@フレンド
可愛らしい茶色の革張りの椅子はしっかり腰が沈んで落ち着くので居心地は抜群。ご夫婦と思しき店の方も気さくで、小体加減が身の丈の心地よさになっている。
客は常連と思しき方が殆どで、近所の旦那・ご婦人と、実質モノなどで無効化しているカウンターに腰掛けるマスターが談笑している。自分の隣には女性がホットミルクを飲みかけたままウトウト寝入っている。午睡ってやつか、なんとも気持ちよさそう。
カウンター脇に鎮座するのは公衆電話。携帯電話のない時代、喫茶店には必ず公衆電話があった。大抵は店の電話も兼ねており、店に電話がかかると公衆電話が鳴るので知らないとビックリする。そーいえばトンデモTVドラマ「西部警察」で犯人が喫茶店に人質をとって立てこもり、大門軍団と店内の公衆電話でやりとりをする…なんてのがあったっけ。

店内掲示によると、上記メニュー以外にもカレーやスパゲッティもある様子。これは悩むが、ここは男の子メニュー初志貫徹ってことで・・・
ハンバーグセット¥850!
ハンバーグセット@フレンド
目玉焼きが乗ってサラダも多め。カップの中はこれまた味噌汁で、加えて食後にコーヒーがきてこの値段は安い! 早速ハンバーグをパクつくが、食べてこれがさらに安値であることに驚かされる。
ハンバーグセットUP@フレンド
確かに手作り感溢れる家庭的な味で、レストランのそれとは一線を画そうが、しかし多くの喫茶店のハンバーグとも一線を画してもいる。適度に粗い挽き具合で、肉々しさと適度な肉汁を湛えたジューシーささえ兼ね備えているのだ。タマネギも多めに入り、甘みがしっかりと感じられる。それなりの厚みもあり、極端に大振りではないが食べ応えもある適度な大きさ。
これに定番のドレッシングのかけられたサラダに、しっかりとした濃さの味噌汁。ご飯もそれなりの量あるし、喫茶店メニューにしては食事になるのが嬉しい。
目玉焼きのいい半熟加減になった黄身とハンバーグのソースとサラダドレッシングが混ざったところにハンバーグをつけて食べる幸せったらもう!


後日、ちょっと時間を潰さないといけない時があり、食事をするタイミングでもなかったので、ハタと思い出し、コチラのホットケーキを試してみることに。
壁掛けメニュー@フレンド
ホットケーキセット¥700!
ホットケーキセット@フレンド
サラダと珈琲が付いてこの値段は安いわ【訂正:サラダはサービスでした】。ホットケーキは外側がバキっとしっかりした歯ごたえがあり、中はソフトに仕上がっている。にしても、ドコカで食べた味のような・・・
一口でわかったのだが、待ってる間も生地から焼いてる素振りがなかったので予測はしていた。昨今、喫茶店で生地から仕込んでオーダー毎に焼いたホットケーキが出てくるというのは奇跡に近い。以前UPしたトミィ【過去記事】や浅草の天国【参照ブログ】、淡路町の万惣フルーツパーラー【公式HP】のように専門的にやっているか、そればっかオーダーが入らない限り、こんな手間と時間がかかってロスの出ることやるわけがない。恐らくY印の冷凍ホットケーキだろう(違ってたらホントごめんなさい!)。喫茶店は基本、1から仕事するものはその業態の性質上なかなか出来ないので、出来合いのものを仕入れるのは何らおかしいことではない。
ホットケーキセットUP@フレンド
これ実は大好物なのでスグわかったのだが、冷凍餃子事件以降なかなか店頭でみかけなくなったし、自分自身間食する暇がなくなったこともあって、こうして久々の味に巡り合えただけでも嬉しかったのだ。トースターで焼くのも時間かかるし、探して買ってくる手間考えたら、このセットで十分お得だし、作り置きや業務用のチンするだけの冷凍モンより100倍ウマイ! そうそう、付け合せもマーガリンってのもイイ!

そーいえば、食事も粗方終え、アンニュイにまどろんでいたときのこと。おもむろに店のママが、隣で寝ていた女性に声をかけた。
「○○ちゃん時間よ〜」
女性はムックと起き、何事もなかったように会計を済ませ、店を後にした。ママが目覚まし代わりだったのだ。
どうもこれからご出勤のようで、いつもこうして休憩している雰囲気だ。こういうサービスも喫茶店ならではだよなぁ。

なんかホックリとした気持ちで店を後にすることが出来た。味・雰囲気…どれをとっても喫茶店に欲しいと思うもの、そして今の多くの飲食店になくなったものを味わえた気がした。

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