- ブログネタ:
- 東京のラーメン屋さん に参加中!
夜な夜な赴いては路駐して、車のテールランプと騒音をバックに啜るコッテリ背脂ラーメンは得も言えぬ快楽だった。どの店も立ち食いだったが、特に白山ラーメンは元屋台ということもあって、ビルの1Fに厨房だけ突っ込んだ状態で席は無きに等しく、皆外で立ち食うか、歩道にあるキャンプ用のベンチみたいなので啜っていた。いわば、道端で飯を食うのだ。平成の世である。戦後か、もしくはアジア的光景にしか見えない。
背脂ラーメンがラーメンの表舞台から後退するのに歩調を合わせるように、巣鴨ラーメンが閉店(店主が秩父で店をオープンさせているが)【過去記事】、千石自慢ラーメンは椅子席を伴ってリニューアル【過去記事】、唯一往時のスタイルを保っているのが、白山ラーメンだった。
とはいえ、時代の変化と共に微妙な変化を遂げる。以前は夜の開店1〜2時間は地元民よりも会社帰りのサラリーマン風がさっと立ち食って帰るという風景が目立ったが、立ち食い客は見かけなくなり、金曜の夜など特に、車でくるアベックやら家族やらが大挙して押し寄せ、まるでイス取りゲームのように座り食いが困難になってしまった。また味の方も、以前のオヤジさんからニイちゃんが調理するようになり、スープが熱くなった気がする。立ち食いを考慮してだろう、プラッチックの軽い丼に、ヌルめのスープだったが、ヒタヒタになるほどスープが入り、これでは熱くて持てない。甘みよりもしょっぱさが立つ様になった気がする。
そんなこんなもあり、また生活スタイルの変化により、週末夜ほっつき歩かなくなったこともあって、足が遠のいていたら、あらら、白山ラーメンもついにXデー、移転を余儀なくされてしまった。案の定というか、外食いではなくフツーの屋根付き店舗だそうな。道端食いでは築地の井上もあるが、ここに、自分の知る限り、ロードサイドの背脂ラーメンに関しては、道端食いが終焉を迎えた。自分の中で、昭和が完全に終わった瞬間だった。
伝え聞くところによると、移転が決まる前からなるべく外ではなく激狭の店中で立ち食いさせるようになったという。保健所的な問題で、道端食いに限界が来たという認識を持つに至ったが、その後調べてみると、どうも近隣住民からの苦情に耐え切れなくなったらしい【参照ブログ】。奇しくも大崎の六厘舎と同時期で同じ理由になるが、そんなもん前からのことだと思うが、どうも白山ラーメンがそういう状態なのを知った上で入ってきた新住民とのトラブルのようだ。でも表向きの理由とも取れなくもないが。
白山での営業を終えたのが、昨年9月。同月にはもう移転先の新板橋で営業を開始している。事前に新店舗のオープンに向けて準備が周到に進められていたのだろう。すぐに行きたいところだったが、昨年末、やっと突入することができた。
新店舗も同じく国道17、白山通りの先になる中山道沿い。高速が走る脇に白山の看板を発見。ネオンじゃなくなったのは寂しいが、白山じゃなくなっても白山の名を冠しているのが嬉しかった(東神田らーめんといっしょやね)。
白山ラーメン【食べログ】
★★★★☆ 4.5
所在地:東京都板橋区板橋4-12-2
ぐるなび:http://ramen.gnavi.co.jp/rmn00739/
入店するとこればかりは違和感が生まれても仕方ないが、まだ新しいとあって蛍光灯に照らされ白くまぶしい店内に目眩がしそうだ。
壁面には往時の姿を留める写真が貼られていた。なんで白山なんだっつー新店舗で付いた客向けのアピールだろうか。
券売機はなく、前金制というのも以前といっしょ。オカアサンがお代を取りに来る。この時、麺の硬めとか指定できる。
聞くところによると、このオカアサンが白山ラーメンの味をメモリーしているようで、若手に伝授しているらしい。厨房にはガッチリしたニイちゃんと、外国のアジア系と思しき若いニイちゃんの二人体制。確かに若い方はあれこれ注意されたりもしながら、一所懸命覚えようとしている。
待ってる間、冷水機から水をくみ、ホットウォーマーからおしぼりを取る。この辺も変わってない。
客層は若いニイちゃんが多かったが、自分と同タイミングで入ってきたのはタクシーの運ちゃんで、この辺も前と変わってない印象を受けた。まだ殆どが前の客なのだろう。
で、超久々のご対面、ラーメン¥800がやってきた!
丼が陶器に変わったくらいで、見た目、変化は感じられない。やっぱこのデカイバラ巻きチャーシューと背脂のビジュアルは、いくつになってもテンションあがりますわ〜
移転してタレが薄いという話も耳にしたが、この日はそんなこともなく、相変わらずトロみのある濃い甘いタレがカッチリきいている! スープ自体は鶏ガラじゃないかという話だが、確かにとんこつ炊き出したような臭いや舌触りはない。スープは非常にさっぱりしている。甘じょっぱいタレと甘みある背脂を、細く柔らかい麺で絡み手繰る感じは、背脂キング、土佐っ子系列の一秀【過去記事】と変わらないが、ここのほうがスープが多いし、まだ啜るラーメン的要素が高い。
麺は前述のとおり柔らかいが、この細麺が背脂に陵辱されてクタクタになる感じがまたいい。ネギと、トロトロに煮こまれたチャーシューとが、食べ進むに連れてグチャグチャになり、その渾然一体感が、この手の背脂ラーメンの最大の旨みとなる。味付けが濃くて色味も黒いメンマは、味付けメンマ的ベタ甘とは別種のサッパリとした甘みがあって何気にイイ。
最後の方は流石にこのグチョグチョも多めの背脂によるものだから、毎度毎度のカッタルさに参ってしまうのだが、それでも、こうなる寸前の背脂快楽が忘れられず、また食べたくなってしまうのだった。
この辺がしっかりと味わえる一杯で、久々だったが、移転前と味的にはなんら遜色ない、いやブレの範囲だろうが、かえってよくなっているようにさえ感じた。
帰りしな、思わず箸を捨てるところを探してしまった。以前のセルフが体に染み付いてるなぁ。
それにしても、屋根のあるところで食べられてるのに、急に一杯800円が高く感じられるから不思議だ。以前のアウトドアの方がイベント性が強く感じられたのだろう、800円に付加価値を見出していたのかもしれない。フツー逆だけどね。
とはいえ、今では貴重となった、正統派背脂ラーメンがこうして夜中に堪能できるだけでも良しとすべきだろう。今まで生き残ってきた味、ブームとかを越えて、いいものはいいと思えるだけの一杯だった。ウマイもんはウメェ!!ちゅーわけで、また来ます。ごちそうさまでした〜
白山ラーメン ( 千石 / ラーメン全般 )
★★★★☆4.0
powered by livedoor グルメ
コメント
コメント一覧 (6)
刈部山本さんが近い味のお店を挙げるとすると、
どこになりますでしょうか。
嬉しくも高難度なご質問ありがとうございます!!
はっきり申しまして、自分の知りうる限り、アノ味を彷彿とさせるラーメンに出会ったことがありません。いい時も悪い時も、アノ味はアノ味でしかないんですよね。
思いつく限りで、敢えて似た方向性を感じたとすれば、
幸来@上井草
http://blog.livedoor.jp/kekkojin/archives/52097276.html
あたりでしょうか。
ここもブレがあるので、当たりを引いた時は激烈に美味しいんですけど、ハズレの時は白山ラーメンには似ても似つかない味に感じられると思います。
またどこか思い出したらコメント入れてみます。
幸来@上井草早速行ってみます。感想コメントさせていただきます。
白山ラーメン、元祖恵比寿ラーメン、ちょっと離れてますが淵野辺大石家
などなど好きなラーメン店がどんどん無くなっているので寂しい限りです。
最近は荻窪のホープ軒本舗系「久保田」、小竹向原の「一番ラーメン」、北池袋「一秀」を食べてます。
どこもそれぞれ美味しいですが、刈部山本さんの白山ラーメンの写真を見ていると無性に食べたくなります…。
これからもブログ楽しみにしてます!
淵野辺大石家は結局いけずじまいでした。残念です。。。
多分、食べ歩かれている時代が自分と一緒なので、好きになってリピートしている店がなくなる寂しさは共感できます。
一秀は特に好きで、いつ行っても空いてるので、もっと注目されていいと思っています。
これからもご期待頂けるようにブログを続けていきますので、今後とも宜しくお願い致します!
一秀は土佐っ子全盛期をさらにクォリティアップさせた感じですよね!
大量の背脂が美味しく感じるには結構濃い味でないときつくなると思うのですが、※濃い味は素材の良し悪しがモロにでる気がします(一般的な料理は薄味こそ素材の良さが云々という意見が多数ですが…)ダメな味も凝縮されますからねえ…。
一秀はかなり丁寧に料理してるなぁと感じます!
お返事かなり遅くなって申し訳ございません。
一秀は今いるお兄さんがかなり頑張ってる感じがします。
大抵、味作った人間が抜けると、味見れる人間がいなくなるんでダメになりやすいんですけどね。頼もしいものです(^^)