最初に伺ったのは2009年の冬。その時のレポは↓を参照頂きたい。
【2010年05月UP:正直ビヤホール@吉原〜ぶっちゃけ、ビアホール!】

その後スグに再訪を誓うも、浅草に来づらい生活環境になってしまい、何年も無精していたら、2016年12月18日に閉店という悲報が飛び込んできた。
店の性質上、祭り化はしないと思ったが、確実に食べたかったので開口一番を狙ってみた。

看板は灯り、店内は明るくオヤジさんが作業されている様子は窺える(どうも近くのオネエサンへの出前だろうかオムライスが出来上がっている)。
正直外観
正直【食べログ】
★★★★★★★★★★ レジェンド!
所在地:東京都台東区千束4-27-8

が、扉は鍵がかかっている。17時頃というアバウトながら個人店としては逆に誠実な開店時間となっており、多少の遅れは覚悟していたが、20分を過ぎても開く様子がない。
仕方なく隣のローソンで待機。この日は12月にしてはとても寒く、風も強くて、コンビニの中とて立ちっぱなしで待つには相当しんどい。
暫くして店の様子を見に行くと、夫婦が飲んでいる。あらら、常連だけ先に入れちゃうパターンか。恐る恐る伺いを立てると入店OKとのこと。
正直店内
店内は相変わらず焼鳥の煤で赤黒くなっており、さらに先客の焼鳥が焼かれているので、かなりケブい。

正直ビール焼かれる前の焼鳥の入るネタケース前の席に着き、まずは生ビール小¥500で乾杯。
以前より冷たく感じる。この辺はサーバーの状態次第かな。キリンの美味しいヤツ。
アテにと焼き鳥と、スグ出てきそうなオニオンスライスを。焼き鳥はこの日、ねぎま・レバ・つくね・ひな正・砂肝・手羽だったかな。1本150円になってた。
ねぎまと手羽を塩で2本ずつと注文すると、目の前のネタケースから取り出されるのだが、少なくなるとオヤジさんが、奥の冷蔵庫から肉塊を取り出し、その場で必要な分だけ切り出している。
正直焼き鳥
だからか、ここの焼き鳥は身がシッカリしていて、大ぶりで食べごたえがある。臭みもなく肉の甘みもあって最高。
肉を扱ったことある人ならわかると思うが、肉は切った断面からスグ悪くなっていく。断面が空気に触れないよう切ったら布掛けるとかラップするなりしないといけない。よくラーメン屋で事前に切り溜めしたチャーシューを見かけるが、よほど慎重に保管しないとスグ臭ってくる(大抵チャーシューが臭うのはこのパターン)。だからその都度ブロックから切り落として、最初の1枚は薄くスライスして捨てるか賄い用にするべき。
正直ハイボール基本中の基本とは言えるが、なかなかこうしてキチンとした仕事が目の前で拝める店も少なくなった。遊廓周辺は料理屋が発展し、下手なものを出すと商売が続けられないと言うが、吉原にはこうした文化が残っていた。ただ、この界隈の赤線時代からの店も殆どなくなり、ここ正直で最後かもしれない。

2杯めの角ハイボールのアテに串カツ(確か800円位)とオニオンスライス(価格失念。300円位だったか)を頼む。
実はさっき書いたように最初のビールと頼んでいたのだが、オヤジさん忘れてたようで、ココで出てきた。
正直オニオンスライス
かなり瑞々しい玉ねぎで、鰹節と醤油がテッパンで合う。

オニオンスライスをツマミながら、串カツの準備に入る様子を見ていると、やはりこれも塊から切り出してくれる。
正直串カツ
サッと揚げて出てきたそれは、きつね色に輝く実に美しい揚がり加減。熱の入った甘いトロトロの玉ねぎもタマラナイが、ホクホクで柔らかくも弾力があって編むと甘い旨みが広がる豚肉がサイコー過ぎる。

店内徐々に賑わってきたので、あと一品で〆るかと、前回頼んでみたかったオムライス(これも800円位)をオーダー。
正直オムライス
これがもう予想通りというか、薄焼きのハードに焼かれた玉子に包まれ、真っ赤なケチャップが垂らされたザ・オムライスが登場。薄焼き玉子を割って中のケチャップライスをみると、ベチャベチャなまでに米がケチャップにまみれていた。
正直オムライスUP
これよ、これ。食べるとネチャネチャしているのだが、しっかり炒まった上にケチャが大量投入されているので、米が一粒一粒負けないで主張している。それでもパサパサな炒めになってないので、ちゃんと米の瑞々しさ、甘みが感じられて、炒まったケチャの香ばしさと合わさって、最強ケッチャップライスと化している。これにホクホクの肉、甘い玉ねぎが合わない訳がない。
結構ボリューミーだが、飲み物のようにあっという間に無くなってしまった。これなら延々食える気がするぞ。

ふへぇ、満足この上なし。
帰りしな、オヤジさんに数年前に来て、どうしてももう1回来たかったことを告げると、あと2日で閉店というタイミングでこうしてお会い出来たのも何かの縁ですね、といって頂けた。
これで最後というのは何とも惜しいが、赤線時代からの店の味の終焉に立ち会うことが出来た自分は幸せだと思うことにしよう。合掌。

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