ご存じの方もいると思いますが、私が自営する珈琲店、結構人ミルクホールが7/2で閉店することになりました【弊店ブログ詳細記事】。というわけで、昨年末発行の冬新刊『五街道縦断 半チャン食いズ』【詳細】が、仕事帰りにお世話になった店のレポをまとめたものでもあるが、今回はそれとは関係なく、そろそろ夏コミの当落が出る時期。出るか、パトめし!完結編ということで、過去のパトめしから当ブログ未UP店をば。
五反田駅に嘗て新開地という闇市があり、その名残がないか来てみたのだが、まぁ名残どころか裏町的な要素なんて全くなかった。が、非常に興味深い出来事があって、今回の中華屋に出会うのだが、そこに興味ある方はミニコミ誌【パトめし!vol.2-1/2 河原版】を読んで頂くとして、ひとまず大崎広小路へ。
ここの東急線下に嘗て「がん」というガード下然としたラーメン店があったなぁなんて思い出しながら、平太周味庵の前を少し先へ進むと、警察署の脇に立正大学がある。

(写真左真ん中あたりにある階段を登って路地に入る)
路地に入ると急な上り坂が続き、更に入り込むと細い路地が入り組む坂の住宅街となる。そんな場所に突如、まさかこんなところに!?という崖の上に突如中華の看板が出現する。


平和軒【食べログ】
★★★★★★★★★★ 路地裏遺産
所在地:東京都品川区大崎3-1-16
本当に小さなお店で、暖簾が出る様も実に愛おしい。吸い込まれる様に入店すると、手前にテーブル席が2卓あるだけで、あとは奥に自宅としか思えない居間があるのみ。
その居間に年配のご主人がテレビを見ていた。完全に家で寛いでる状態。こちらに気づくと丁寧に向かい入れてくれた。

ビックリするほど安いメニューを見ると、定番の品々の他にミニ焼豚丼というのが200円であり、ラーメンに付けるのに持ってこいと思ったが、昼でご飯が終わったとのことで今回は我慢することに。

にしてもご主人、こんな若造に平身低頭詫びてくれて、なんか申し訳なくなるほど腰が低い。
待つこと暫し、やって来たラーメン¥470!

ワンコインで釣りが来るとは思えない、安っぽい要素が微塵も感じられない一杯。

具のチャーシューもしっかり厚みがあり、表面もラードが覆っている。飲んでみると更に驚きが倍加した。かなり自然な旨みが強い。基本はサッパリ醤油スープながら、動物系ダシだろう若干の粘度が感じられるほど、スープに厚みがある。骨じゃなくて肉のダシかもしれない。
そして何と言っても麺。気持ち太めの白いストレートのものだが、少し粉っぽい様なボツっとした食感。この手のラーメンだと細めの縮れ麺で腰の強い弾力のあるものか、異様に柔らかいかするのだが、これはまるで熊本ラーメン桂花のような、表面に油でも塗ったかの様な独特のものとなっている。この麺とスープと具の一体感がなんとも味わい深く、一気に食べ終えてしまった。
食べてる最中からご主人が話しかけてくれて、食べ終わってからも暫くお話を伺えた。創業は古く、昭和2年で、ご主人で三代目になるという。戦後スグ五反田周辺で屋台を引いていたが、昭和25年前後に新開地で路面店を再開。そして昭和40年にその当時自宅だった現在の場所に移転。今は志木の自宅から通われているという。
地下に製麺室があるらしく、なるほど、この独特の麺と崖地という立地が見事に符合した。
貴重なお話と巡り合わせ、歴史を感じつつ噛みしめるラーメンの味ったらない。これだから街歩きしての町中華探訪ならではの醍醐味。
いや〜、しみじみウマイ!! 今度こそ昼に来てミニ焼豚丼! ごちそうさまでした。

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