今夏もやります!
中板橋駅の南側に、旧川越街道が土佐っ子発祥の地とされる下頭橋を突っ切って環七まで続いている。嘗ては賑わった街道筋だろうが、今では昔ながらの商店が散見できる程度の淋しげな沿道風景となっている。
ある夜、現川越街道からこの旧道へ出る、抜け道のようなクネクネと続く細い路地があったので入ってみると、真っ暗な住宅街にポツンと店内から明かりが漏れる中華屋が出現した。

え、こんな場所に!?
というロケーションながら、それ以上に波板ガラスの前に架かる半円のラウンド型の暖簾に目が釘付けになる。

(↑は昼間撮影した路地風景)
今でも僅かにこの型の暖簾を残す店があるが稀少となっているし、自分的に外れがないという経験則があるので、もう入らずにいられない。

博龍
★★★★★★★★★★ 町中華遺産
所在地:板橋区弥生町57-8
扉が重く、開けるのに四苦八苦していると店のご主人が開けて店内へと誘ってくれた。
中はもう案の定というか予想以上に出来上がった、永い歳月が経ないと出ない風合いの、蛍光灯に浮かび上がる焦げ茶色の空間が広がっていた。

といっても奥行きのないカウンター数席に、テーブル席が1卓のみ。店の感じにしてはお若くみえるご主人と御婦人のお二人が暖かく迎えてくれた。テーブルにいた御婦人がお冷と一緒にスポーツ新聞をスッと差し出してくれるのが憎い。

(↑メニューUP)
テレビや新聞を見つつ待っていると、カウンター越しにご主人の勢い良く鍋をふるうリズミカルな気持ちいい音が耳をつく。
思わず溢れる笑みを抑える間もなく御婦人が運んできてくれた、チャーハンは¥650!

大盛りでないのにしっかりした量で、後で持ってきてくれた付け合せのスープもさることながら、しっかり浸かって瑞々しい漬物も嬉しい。

肝心の炒飯だがこれが見るだに具だくさん。玉子・青ネギが目立つが、なんといっても目を引くのがナルト。粒は大きくないが、結構な量のピンクと白のマーブルが覗いている。
レンゲで解すと、湯気とともにホロホロと崩れる。うっすらつく適度な焦げ目は、絶妙な炒め具合の証拠。噛むと、これがもうホクホクという言葉以外みつからないほどのホックリ加減。米に水気を讃えつつ、炒まることで余計な水分が飛び、油も必要最低限でオイリーさはなく、炊きたての御飯のホカホカ加減をそのまま保ったような出来栄えにレンゲを持つ手が震えた。
味付け自体は濃くなく、ややコショウ強めでピリとしていて味自体の印象は特に残らないが、米の優しい食感と、ナルトの少し焦げた香ばしさとムニュとした食感というダブルの食感に、多めながら主張しすぎない具材が絶妙に絡まり、全体にまとまった大人しくもメリハリある味わいが広がる。
町中華の炒飯はどれもその町に親しまれてきたそれぞれの味で外れは余り経験ないが、ここまで当たりというか、店の見た目、その存在感が味に現れマッチしてるのも珍しい気がする。この一皿に店の歴史が凝縮されているかのようだ。
これで十分満足なのだが、御婦人がトドメにアイスコーヒーを出してくれた。こういうのがミゾオチにハマるというか、泣きそうになってしまう。テレビの内容について店のお二方と雑談しながら食べた束の間の時間が、とても貴重に思えてきた。御婦人が扉を開けて最後まで見送ってくれた。腰が低く、ご主人も朗らかで、炒飯と同じく気持ちもホクホクしてくるのだった。
いやはやしみじ〜み染み渡る旨さ。御見逸れしやした。ごちそうさまです。
そしてこの後、旧道に出たところで見つけたものとは!?・・・それは夏新刊をお楽しみに!
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8/12(日) 3日目 東5 ヒ-07b ガキ帝国@東京ビッグサイト【コミケWEBカタログ】というわけで、夏新刊で取り上げた店と関連しつつも、過去ブログにUPしていなかったレポがあるので、本を出す前に紹介しておきたい。
新刊ほか、当日の取り置き、受付中!!
詳細は→【サークルブログ】まで。
…オフセット新刊は『裏板橋メシ屋道中記・東地区篇』【詳細ページ】。昨今多い板橋のムックやガイドブック。それらに載らない、載せられない?どローカル飲食店を巡る「裏板橋本」。
限定本は、昨年秋の再販『神保町ドキドキパニック』、拙文庫のAmazon購入特典PDFの冊子版。
中板橋駅の南側に、旧川越街道が土佐っ子発祥の地とされる下頭橋を突っ切って環七まで続いている。嘗ては賑わった街道筋だろうが、今では昔ながらの商店が散見できる程度の淋しげな沿道風景となっている。
ある夜、現川越街道からこの旧道へ出る、抜け道のようなクネクネと続く細い路地があったので入ってみると、真っ暗な住宅街にポツンと店内から明かりが漏れる中華屋が出現した。

え、こんな場所に!?
というロケーションながら、それ以上に波板ガラスの前に架かる半円のラウンド型の暖簾に目が釘付けになる。

(↑は昼間撮影した路地風景)
今でも僅かにこの型の暖簾を残す店があるが稀少となっているし、自分的に外れがないという経験則があるので、もう入らずにいられない。

博龍
★★★★★★★★★★ 町中華遺産
所在地:板橋区弥生町57-8
扉が重く、開けるのに四苦八苦していると店のご主人が開けて店内へと誘ってくれた。
中はもう案の定というか予想以上に出来上がった、永い歳月が経ないと出ない風合いの、蛍光灯に浮かび上がる焦げ茶色の空間が広がっていた。

といっても奥行きのないカウンター数席に、テーブル席が1卓のみ。店の感じにしてはお若くみえるご主人と御婦人のお二人が暖かく迎えてくれた。テーブルにいた御婦人がお冷と一緒にスポーツ新聞をスッと差し出してくれるのが憎い。

(↑メニューUP)
テレビや新聞を見つつ待っていると、カウンター越しにご主人の勢い良く鍋をふるうリズミカルな気持ちいい音が耳をつく。
思わず溢れる笑みを抑える間もなく御婦人が運んできてくれた、チャーハンは¥650!

大盛りでないのにしっかりした量で、後で持ってきてくれた付け合せのスープもさることながら、しっかり浸かって瑞々しい漬物も嬉しい。

肝心の炒飯だがこれが見るだに具だくさん。玉子・青ネギが目立つが、なんといっても目を引くのがナルト。粒は大きくないが、結構な量のピンクと白のマーブルが覗いている。
レンゲで解すと、湯気とともにホロホロと崩れる。うっすらつく適度な焦げ目は、絶妙な炒め具合の証拠。噛むと、これがもうホクホクという言葉以外みつからないほどのホックリ加減。米に水気を讃えつつ、炒まることで余計な水分が飛び、油も必要最低限でオイリーさはなく、炊きたての御飯のホカホカ加減をそのまま保ったような出来栄えにレンゲを持つ手が震えた。
味付け自体は濃くなく、ややコショウ強めでピリとしていて味自体の印象は特に残らないが、米の優しい食感と、ナルトの少し焦げた香ばしさとムニュとした食感というダブルの食感に、多めながら主張しすぎない具材が絶妙に絡まり、全体にまとまった大人しくもメリハリある味わいが広がる。
町中華の炒飯はどれもその町に親しまれてきたそれぞれの味で外れは余り経験ないが、ここまで当たりというか、店の見た目、その存在感が味に現れマッチしてるのも珍しい気がする。この一皿に店の歴史が凝縮されているかのようだ。
これで十分満足なのだが、御婦人がトドメにアイスコーヒーを出してくれた。こういうのがミゾオチにハマるというか、泣きそうになってしまう。テレビの内容について店のお二方と雑談しながら食べた束の間の時間が、とても貴重に思えてきた。御婦人が扉を開けて最後まで見送ってくれた。腰が低く、ご主人も朗らかで、炒飯と同じく気持ちもホクホクしてくるのだった。
いやはやしみじ〜み染み渡る旨さ。御見逸れしやした。ごちそうさまです。
そしてこの後、旧道に出たところで見つけたものとは!?・・・それは夏新刊をお楽しみに!

コメント
コメント一覧 (6)
そしてこの炒飯!食べなくてもわかります!(おいおい)そりゃ刈部さんの手も震えるでしょう!素晴らしい!
まじめに手震えましたよ。感涙モノです。
オムライスも美味しいですよ。
旧道で見つけたのは「かどや」?
自宅の至近です。
おおっ、今度オムライス食べてみます!
情報ありがとうございます。
旧道で見つけたのは、まぁそうなんですけど、一応、新刊のネタなのでナイショということで(^^ゞ
あらま、板橋にそんな思い出が(^^)