昨年末に発行したコーヒーのミニコミ誌、お陰様で委託先から追加発注もいただけるような状況で、手持ち在庫が底をつきそうだ。というわけで、本の中でもチョット触れている、自分の中では昭和の酸っぱい珈琲を出す喫茶店の代表的存在をUPしておきたい。
というわけで、早々に電子書籍化してみた。
ブレンドしか頼まないヤツは一生飲みたいコーヒーに出会えない!? 1・現実と概要篇【Kindle版】
内容は、誤変換や文章のおかしいところを直した以外は変えていないので、読みやすく、全体にデザインされた本ならではの味わいを感じたい方は、まだ委託先書店では取り扱っているところも多いので、そちらも是非ご利用いただきたい。
どこも小さな書店なので、このご時世、通販していただけると嬉しいッス。文字ばかりの本なので、自宅で自粛中のお供にしていただければ幸いです。
学生街といえば喫茶店。この界隈はやはり昭和からの純喫茶の類が多く、特に神保町は嘗ての学生がコーヒー一杯で長時間粘り、議論を戦わせていた様な店が未だ健在だ。そんな空気感を残す御茶ノ水の喫茶店として真っ先に思い出すのがミロ。
さて、入口は何処でしょ? 雑居ビルの看板なんぞ探しても意味はない。
サラ金や金券ショップの入る怪しげな雑居ビルの間の隙間。
えっ、ここ入れるの?って激細路地の入口で看板がお出迎え。
路地を進むと入口が見えてきた!
ミロ【食べログ】 ★★★★ 4.0
所在地:東京都千代田区神田駿河台2-4-6
そして突如現れる、ナポリタンのサンプルが飾られたショーケース。
今でこそ表通りにランチの看板を出したりしているが、それでも知らなければここの看板なのかさえ判別が難しい、正に生ける迷宮物件!
(表通りに出ているサンプル)
入るとそこは暗く、ランプシェードが鈍く浮かび上がる古城の様な空間…だったのだが、実は数年前に改装し、前より随分と明るくなった。
それでも昨今のまっちろナチュラルなカフェなんぞから比べれば暗く、往時の空気を残しつつ今でも機能する様な秀逸なリニューアルといえよう。給仕も若めの女性ながらカフェかぶれした自称女子ではないのも高感度高し。
ランチは1100円で、13時を過ぎると1300円。
昔からこちらは高めの設定で、10年以上前に来た時も珈琲一杯700円で度肝抜かれた。
(メニューはクリックで拡大)
まぁ新宿にあった名曲喫茶スカラ座もその位したが、あすこは蔦の絡まる古城の様な建築がそもそもイベント性が高いので、入場料くらいに思えた。しかしコチラは珈琲がトラジャとあっては泣くに泣けないものがあった。
トラジャはテレビCMで覚えている方もおられようが、キーコーヒーが力を入れていたインドネシアの豆で、これがまぁスッパイ。昔の喫茶店のコーヒー=スッパイの代名詞の様な味。
この店自体、往時の純喫茶の代名詞の様な店だから当然といえば当然か。でも10年程前はまだ昔気質の純喫茶も今よりはそこそこ残っていて、店先に出ている看板が鍵のマークだったりするとガッカリしたものだった。それが300円とかだったらまだ救われるが、二十歳ソコソコのバイト風情には痛すぎた。
今、こうして店の中に入って席についても、卓上にはトアルコトラジャイチオシのポップがコッチを向いている。これは、ここに来たら覚悟せよということなのか。いや、暑いからアイスコーヒーに逃げてもイイよね?
というわけで、スパゲティのセットにアイスコーヒーを先でお願いした。
暫くしてやって来たそれは、大きなグラスにタップリ注がれていた。
色味も濃く、これはもしやと恐る恐る飲んでみると、天は我に味方したのか、濃いめで苦味も効いたシッカリした味の王道アイスコーヒーだった。もしかしたら豆はトラジャかもしれないが、深く炒ると酸っぱみは消えるのだろうか。
深炒りのコクが強いコーヒーの代名詞的に扱われることの多いマンデリンも同じインドネシアの豆なので、トラジャも深炒ったり物によっては似たようなニュアンスになるのかもしれない。
想定外のアイスコーヒーをチューチュー飲んでいると、厨房から炒める軽快な音が耳に響いて来た。
そして目の前に運ばれて来たのはミラネーズ。聞きなれないパスタだが、ミラノ風のといった意味らしく、いわばナポリタン的な日本風のネーミングらしい。一般的にクリームソースのパスタをさすらしいが、地方によってはカツなどが乗る、トルコライスパスタ版とでも言うべき料理を言うようだ。
これはそのどちらでもなく、まぁクリームソース的なものもなくはないが、味付けは無きに等しい素スパゲッティといった風体。
付け合わせのポテトサラダも粘りある系ながらシッカリ手の入ったもので、サラダも多めでリンゴがウサギに切られていたりしてホッとさせられる。
ニンニクも唐辛子も効いてないのでペペロンチーノとも違うが、適度な塩気と細かく刻まれたベーコンや玉ねぎと相まって、シンプルに硬めでやや焦げめのついたパスタを食わせてくれる。
非常に最小単位のミニマルな味が妙にハマってしまった。また客に合わせて量や味付けを調整しているのか、スパゲッティの注文が入るごとに客層を聞いているのが好感が持てた。
創業は昭和30年だそうで、様々の時代の顔をこの隙間からそっと覗いて来た生き証人。まだ当分はここにいてくれそうだ。御茶ノ水の文化遺産として、ここに在り続けてほしい。
そして、酸っぱコーヒー好きは是非トラジャをトライしていただきたい。
ともあれ、昭和のユルい喫茶時間が流れる店でユックリできて満足! 美味しゅうございました。ごちそうさまです。
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コメント
コメント一覧 (2)
今は亡き西千葉の「古時計」という喫茶店
若輩者には「ラーメン食った方が良かったかな...」という感想でした(笑)
刈部山本
がしました
西千葉の喫茶店の名前、ナイスですね〜
若者のラーメン一杯に敵うものではありませんよね(^_^;)
刈部山本
がしました