現在、年末に発行するミニコミ同人誌の新刊の準備を始めようかなぁと思っているところなのですが、これまでのようにオフセット印刷で数百冊を刷って、売り切ったらお終い(モノによっては電子書籍にはしていますが)という形をとってきました。というわけで、だいぶ前に発行した首都高下をチャリで巡りながら食べまくる『首都高B食バトル』の続刊で予定していた首都高目黒線にちなんで、鬼門の目黒ネタをUPしておきたい。
今は安価に1冊からオンデマンド印刷で発注できるので、在庫切れとなっている過去のバックナンバーを在庫を持たずに再版できるようにしたいなと考えています。
大量に刷るよりは多少割高になりますが、それでもだいぶ安くお届け出来そうです(1冊6〜700円のものだったら送料込みで1000円くらい)。
というわけで、まず試しにどのバックナンバーで始めてみようか、アンケートを取ることにしました。
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自分にとってどうして目黒が鬼門なのか。皇居から見て裏鬼門じゃねーかというツッコミは置いておいて、生活圏から遠いのもあるが、出かけるとなると折角ならと横浜のほうへ行ってしまうので、丁度目黒がポッカリと抜けてしまうのだ。
さらに、目黒駅周辺は何故か自分が行くと店が潰れる傾向にあり、この20年メグ二郎くらいしか自サイト上に残っていない。当ブログでは最近ようやっと、シャンコ焼きそばを食べたぱっくん亭【過去記事】があるくらいだ。
目黒となるとこんな話ばかり書いてる気がするが、そんな目黒にあってこの数年、行きたいと思わせる店が存在した。とある祝日、仕事の納品でチャリ遠出する以外は家に閉じこもっていたので、普段行かないけど空いてる電車で行き帰りできそうな場所で散歩をと思い、目黒がターゲットとして浮かび上がった。
なら、あすこに行けるゾと。営業時間的にも遅い昼メシに間に合いそうだ。
JR目黒駅は三井住友銀行が自分の中での目印となっている。改札外に出ると目に入ってくるので、見かけると安心する。
これまでは権之助坂を下っていたが、目的の方向が表通りではなく裏道のほうが近そうだったので、三井住友の脇から行人坂を下る。
下り切ると目黒雅叙園がお出迎え。その先に目黒川が流れていて、ほとりに中世の城みたいな建物が違和感を醸し出していた。

あれ? 目黒エンペラーっぽいな。
気になって近づくと、やっぱり目黒エンペラーだった。子供の頃、マイカーで家族と親類の家などに出かけた折、帰りに首都高目黒線を通ることが度々あった。大抵は渋滞していて、ノロノロと進む中、防音壁越しに円錐形の城の頭頂部のような見えて、車窓からなんだろうと不思議に眺めていた。でもなんとなく怪しげで、大人には聞いちゃいけないような気がして、ついぞ声に出すことはなかった。我ながら勘のいい子供やね!
今になって地図で見ると、首都高からは望めない場所にあるのだが、移転したか数店舗展開していたのだろうか。子供自分の記憶なので、首都高から見たんじゃないかもしれないし、いい加減なものだが、なんにしても、思いがけず懐かしいものに出会えて、感無量だ。昭和遺産がしっかり現役で健在というだけで嬉しくなる。
相変わらず全然本題に入らない当ブログ。もうすぐだからね。
目黒川から柳通りという脇道にそれて山手通りに出る直前。

写真ではわかりづらいがよくよく見ると、三角地にポツンと佇むビルの1Fに、目的の屋号が書かれたタペストリーがはためいていた。
あー、ここだここ、味一!

中華 味一【食べログ】 ★★★★★ 5.0
所在地:東京都目黒区下目黒2-24-7 ハイム7 1F
公式サイト:http://chuka-ajiichi.com/
店内はテーブルがメインのちょっとした町中華然とした店だが、やたらメディア露出したことを示す貼紙が目立つ。
観光地によくあるような、他所からの客にアピールする店って独特の雰囲気があるが、ここはある種の嫌らしさがなくて、地元客というか、この通りをよく利用する人が立ち寄る店って感じが強く、常連から愛されてる雰囲気が満ちている。

だからか、町中華ほどドメスティックでもなく、90年代とかにちょっと有名になったラーメン屋さん的な、適度に専門的で適度にアットホームな、付かず離れずの居心地の良さを感じる。
昼ピークを過ぎ14時を回っても、客はソーシャルディスタンスを保ってほぼ満席といった状態。ガテン系っぽいニイチャンの他、若くてヤンチャっぽそうなカップルとか、持ち帰りを待つご近所さんらしき人が占めている。
4人がけの実質2人席しか空いてなかったので、ちゃきちゃきとした女将さんらしき方にそこに通される。厨房ではガタイのいい男性が2人ほど、威勢よく鍋を振っている。

卓上のメニューを見ると(↑クリックで拡大)、ラーメンとともに炒飯がやはり人気メニューのよう。どのメニューにも背脂の文字が目立つ。ラーメンではあっても、炒飯に背脂というのは珍しい。二郎みたいなタンメンも気になるが、それしかないだろうと注文。
久々のプチ遠出とあって、一人で乾杯しようとレモンサワー¥450を。

「すぐ持ってきますね」と、注文後に速攻出してくれるのが嬉しい。チョット歩いただけだが、ヒエヒエのチューハイが喉を通過して胃に染み渡る。くぅ〜、これだね。お疲れちゃん。
飲みながら壁面を見渡すと、背脂餃子なんてのを発見してしまった。追加するのもありかと思ったが、炒飯の量がわからないし、しかも脂プラスしてるとあって、初見は自重しよう。
すると、2人連れが入ってきた。丁度2人がけで1人利用のテーブルが空いたので、席を二人連れに譲ってそっちに移動。
その二人連れが、炒飯セットの炒飯を背脂にできないかと聞いたら、通常のセットは背脂にはできず、背脂炒飯だと背脂餃子とのセットになるという。あ、そういうのがあったのか。ちょっと後悔したが、結果的には頼まず正解だった。
そうこうしてると、徐に炒飯スープが目の前に置かれた。

おおっ、かなり濁りのあるスープ。豚骨などを煮込んだような芳醇な香りがする。これは珍しいね。
とにかくズズッと啜ってみると、おおっ、醤油ダレも効いた、濃くパンチのある味わい。単純な豚骨醤油とも違う、ちょっと複雑な味わい。それこそ90年代に独自性のあるラーメンとして流行りそうな街の人気ラーメン店とかで出てきそうな味。いい加減な話、カニとか入ってそうな味がする。
思わぬスープに感激していると、いよいよ真打ち登場、背脂炒飯¥900!

チャーシューマシの背脂炒飯もあったが、まずはノーマルで。それでも厚切りでぶつ切りなチャーシューは多く、炒飯の上に乗っていて、その上に背脂が掛けられている。頭頂部には細切りの白ネギが添えてあるのが見た目にもソソる。

まずは炒飯単体でいただこうと思うが、どうしてもチャーシューと背脂とネギが混ざってしまう。そういうものかと思って一緒くたになったものを頬張ると、うん、背脂には醤油ダレが掛けてあるのだろう、甘じょっぱい味とチャーシューの肉汁と脂身、更に背脂にシャキッと瑞々しいネギがアクセントになって、豚骨醤油ラーメンのスープを啜ったら、一緒にチャーシューとネギの欠片と背脂が喉に入り込んできた時のような味になった。

だがこれは炒飯。米という炭水化物と炒めた油がその味わいを支えるという、ズルズル啜るラーメンとはまた違った満足感と食感となってる。食べ慣れた味というか、違和感なく食べられるのに新鮮さも感じられるなんて。
食べ進むとようやっと炒飯単体が顔を出した。

壁面の貼紙にもあるが、どうもパラパラ炒飯として名を馳せている店でもあるようで、炒飯自体は米が硬めで味付けも淡白。ナルトも窺えるように、全体の仕上がり自体は町中華的でありながら、味的には非常に上品。背脂がなければ嚥下もキツそうに感じたが、逆にいうと、背脂やチャーシューがあるがゆえに、この味付けでバランスが取れているように思われる。もしかしたら、炒飯単品だと味付けが異なるのかもしれない。
炒飯が来る前にほぼレモンサワーを飲み終えてしまったが、氷が溶けて若干残ったレモンサワーで口中の油を流し、完食。
やはり背脂やチャーシューの効果か、決して大盛りという量ではなかったが、まだ暑い日だったこともあって、これで丁度良かった。
会計時、件の女性店員と厨房側にごちそうさまと告げ、店を後にした。
背脂炒飯、どーして他でやらないのかと思うほど自然なマッチングのメニューだった。土佐っ子系の店でこういうのあったら面白そうだなと思いつつ、今度こちらにまた来たら、今度はラーメンメニューであのスープを思いっきり堪能したいとも思うのだった。あ、背脂餃子も試さなきゃ!
というわけで、鬼門の目黒。幸いにして新たな出会いがあって、来てみた甲斐があった。いやはやウマウマシ!! ごっそうさんっした!!!

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