21年の春に開催される予定のコミケに申込みました。そして、今冬に催されるエアコミケ2にも参加します。

そこで、夏に続いてリアルイベントではありませんが、新刊を発行しようと思ってます。
えっ、コロナ禍で食べ歩けたんかぃ!?と思われたもしれませんが、ほぼ飲食店に行けなかった1年だったので、開いてる店に行かなくても成立する企画にしました。
そう、アノ、掲載店どこもやってない、究極に使えないガイドブックの第三段『ザ・閉店3』!!
今回はコロナのこの時期にやむを得ず閉じざるを得なかった飲食店をピックアップして、コロナ前とコロナ後の飲食を取り巻く状況、ひいては社会の有り様を浮き彫りにできたらなと思ってます。
というわけで、この時期に閉店となりつつも、見事に復活を成し遂げた、背脂チャッチャ系の環七ラーメンに行ってきやしたよ。

これまで何度も当ブログで取り上げているし、メシ通の拙連載や、そこから生まれた『ラーメン系譜学』でインタビューもさせていただいた。

なので言わずもがなだろうが、東京都板橋区は下赤塚で今年10月いっぱいまで営業を続けていたじょっぱりラーメンの店主、川口さんは元土佐っ子ラーメンの副店長。
今となっては、リアルに土佐っ子に勤められていた方で現役でラーメン店を続けられている貴重な存在。
その方がこのタイミングで都内から埼玉の大宮以北、鴻巣駅からさらに離れたロードサイドで勝負するというのだから、駆けつけないわけには行かないでしょ!

鴻巣はかなり前に次念序【過去記事】でつけ麺を食べたり、さらに遡れば免許センターで運転免許を取得したりと【関連記事】、なにかと来ている場所。
駅前には商業ビルがそびえ、その変わりように驚くが、駅前エリアを抜ければ、平屋建ての木造家屋が立ち並ぶ光景となる。この辺りは地名を雷電と言って、10年以上前に散策記をまぼろしチャンネルで書いているが、その時もなんだかYMOかセイブ開発かタメエモンみたいでカッコイイなと思っていた。

が、今は新築の建売住宅があちこちに出来上がり、だいぶ様変わりしていた。
10分ほどで住宅街を抜けると車の多い大通りに出る。この国道17号に出てすぐのところで、黒っぽい壁に豚のキャラがあしらわれた真新しい看板を掲げるのが、東京環七ラーメンこと、旧じょっぱりだ。

外観
東京環七ラーメン じょっぱり【食べログ】 ★★★★★ 5.0
所在地:埼玉県鴻巣市神明1-9-20
公式Twitter:@tmwlgWCTPNLYHb5
過去記事:17年07月16年01月09年2月

心機一転、店名を変えたのかと思いきや、東京環七ラーメンの下に小さくじょっぱりと添えられている。一応、元じょっぱりですよという前店を知るものへのアピールなのだろうか。
看板
店の周りには開店祝いの花がたくさん。土佐っ子時代から変わらぬ麺のつるや製麺からもある。肉屋は見慣れないところ。後で聞いたら地元の精肉店に変えたそうだ。

さて店に入ろうと入口に向かうと、ご主人が表に出てきたところだった。
「早速来ちゃいました〜」なんて声をかけるも、今昼の部を終えるところだったという。それで駐車場の入口に完売の貼紙が出ていたのか!
完売
昼の分最後の客として入店できた。21時まで通し営業と聞いていて、一段落つきそうな時間にお邪魔しようと時間をずらしてきたが、25日の水曜から2日営業して、夜までスープが持たないとのことで、この日の金曜から仕込みの中休みを取ることに決めたようだ。時計を見ると14時ちょうど。ギリセーフ!

店内はカウンターの他、テーブルに小上がりと席数は赤塚時代の倍くらいあるか。
店内
昼営業というのこともあるが、まだ新しいから壁も白く、窓も大きいので明るく広々と感じる。赤塚時代は飲み屋化していたが(それはそれでご主人のキャラが立っててよかったが)、こちらではラーメン屋らしく営業してラーメンで勝負しようという気概が店内の雰囲気からも感じられる。
厨房も広く、ご主人がノビノビ調理されている様子がよく見える。フロアは奥様が担当というのは赤塚と変わらないが、この日は赤塚ではみかけなかった娘さんも出ておられた。

新しい店をアチコチ見渡していると、正油ラーメン¥800の登場!
正油ラーメン上から
おおっ、丼が変わってる!! しかも、土佐っ子ではあったがじょっぱりではなくなった完熟ゆで卵(半分に糸で切られたものがさらに何分割化されたやつ)が復活しとる!!! 丼に土佐っ子の文字がなくなったのは寂しいが、ゆで卵はオールドファンには狂気モノだ。うひょ〜
券売機には塩や味噌、つけ麺、あっさりなど、赤塚時代と変わらないラインナップが並んでいたが、現在オープン間際でオペが追いつかないので、ラーメンはデフォの正油ラーメンのみとなっているが(そもそも赤塚の末期には券売機が壊れていたがw)、脂の多め少なめができる旨が券売機に貼られているのは初めての客には有り難いだろう。

じょっぱりはつけ麺と塩が好みだったが、元々移転一発目は標準の正油と決めていたからオールOK。
正油ラーメンUP
背脂が液状化している部分も含め表面を覆っている感じが赤塚時代と変わらぬじょっぱりらしさ。丼自体が底も広く大きくなっている気がする。
土佐っ子というとフワフワした固形背脂が主体で、濃厚なタレが主張してスープの割合が低い印象があるが、実際はそこまで固形背脂だらけじゃなかったし、そこまでスープが少なかったわけではない。その上で、じょっぱりでは赤塚時代からスープを多めにして、ラーメンとしての一杯を楽しめる仕様になっている。
だからじょっぱりオリジナルの土佐っ子ラーメンといえるけど、本来の土佐っ子もそこまでスープ少なくて脂まみれじゃなかったよとも言える。

ともあれ、スープの底から麺を引き出せば、濃いタレが麺を黒くする。
麺UP
背脂と麺とタレとスープが渾然一体となったところを啜ると、背脂の甘みとタレのビター感が、粉感がありつつもツルッとしているつるやの中太麺に乗って口中に溢れる。スープを飲みすすめるとわかるが、ニンニクも適度に効いていて、パンチのある味わいが堪能できる。
チャーシューも身厚で味付けもしっかりで食べごたえあるもの。このスープにこのチャーシュー、容赦ない破壊力が土佐っ子の醍醐味とはいえ、それゆえに体調がモロに響くラーメン。油に負けて一杯完食できないことも過去多かったが、この日は途中でダメかなと思われつつも、気づけば完食していた。全体に前より食べやすくなった気がしたのはたまたまか。
ここの豚骨主体のスープ自体に旨味があって満足度が高いが、正直背脂であまり感じられなくなっている。一度、脂少なめで頼むと、パンチ力が衰える分、スープが良く味わえる。圧に負けそうだったら、是非一度脂少なめでリトライしてほしい。今度また来た時は少なめで新天地のラーメンを比較してみたい。

なんにしても変わらぬ味で、さらに嬉しいマイナーチェンジもあり、大満足したと仕込みに入るご主人にお礼を告げ、店を後にした。
川口さん
ご主人が元気そうでなにより。飲みでも利用できるので、落ち着いた頃、飲みにも利用したいなと思いながら再び住宅街に入り駅へと向かった。
来たときとは違う道を通ろうと進むと、旧中山道に出た。なんだか見覚えのある風景だなと思ったら、閉店してしまったホワイト餃子鴻巣店があった近くとわかった。

ご夫婦でやってて、アットホームでいい店だったな。本当になくなったのが惜しいなと往時の記憶に想いを巡らせていると、なにやら赤色が眩しい神社が目に飛び込んできた。
鴻神社
鴻神社といって、鴻ノ鳥の鴻だからか子宝にご利益のある神社のようだ。お参りをして、じょっぱりの益々の発展を願うのであった。

そして駅に到着。今回も駅内の立ちそばには寄れずじまいとなった。あぁ、いつ食えるんだ?
というわけで、貴重な背脂ラーメン、美味しゅうございました。ごちそうさま!

←クリック戴けると狂喜します