カテゴリ: ぼった・ら・駄菓子屋もんじゃ

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わっかるかなぁ〜、わっかんねぇだろうなぁ〜。
というわけで、私プロデュース・いとこの男の娘出演のYOUTUBEエモウマい店の、記念すべき第10回は、得意中の得意分野、東京の八王子にあるローカルフード“パンカツ”を取り上げやした〜
当ブログ未UPだったので、このタイミングで公開することに。

八王子は実家の墓があるので、幼少の頃から親しみのある土地だったりするのだが、最近までパンカツなるご当地グルメがあるとは知らなかった。
戦後によく食べられていた、ただ食パンを揚げただけという、ガキのオヤツ的食品だったらしい。
しかし今では一部のお好み焼き屋か、協会がイベントに出店する屋台でしか食べられない。往時のスタイルで提供される店はなくなったと言っていい状態のようだが、僅かな痕跡は残っている。
というわけで、八王子駅の北口デッキからユーロードという、この街のメインストリート的な商店街を突き進むとしよう。

商店街が甲州街道とぶつかる手前、1つ路地に入ったところに、夕やけはあった。
路地

外観
夕やけ【食べログ】 ★★★★★★★★★★ ×∞ これこそ文化遺産
所在地:東京都八王子市横山町12-7
公式サイト:https://peraichi.com/landing_pages/view/yuyake/

見た目は木造の間口の狭い店で、いわゆる月島もんじゃ以降の店ではなさそうな佇まい。
入口
入ると中はかなり広く、左手のテーブル席がだーっと並ぶホルモン屋状態。
店内
相当なキャパがあるそうで、右側は小上がりというが、一人なので左の入口近くの席へ。
鉄板台自体がやや小さめで、一応4人掛けになっているが、2人で丁度いいくらい。
メニュー1
メニュー2
(メニューは2015年当時のもので価格は現在と異なります)
店のオジサンが鉄板に火を点けに来たので、メニューのパンカツ¥400を確認し、それにウインナーコーンもんじゃ¥550とレモンサワー¥450を頼む(ここの価格は現在に合わせました。パンカツ値下がりしてる!)。
酎ハイ
さわやかスッキリで、間違いないレモンサワーを飲みながら、ぼーっと過ごす。

そうこうしていると、もんじゃが登場…って、なんすかこの山盛りは!!?
もんじゃ
フツーもんじゃで山盛りっていっても見た目だけの問題で、実際の器が小さくてさして量はないものだが、ここのは丼に具の山がデーンと乗ってるのだ。
ステンレスの小さなボウルには嫌気が指しているので、丼は汁と混ぜやすいし子供時分のぼったらのままで嬉しいのだが、これ一人で全部食えんのか。

そんな心配をよそに、続けざまにパンカツがドカンとやってきた!!
パンカツ1
今度持ってきてくれたのは女将さんで、さっきから奥で揚げる音がしてたのは女将さんがパンカツ担当ってことか。
「これは焼かずにこのまま食べてくださいねー」と忠告してくれたが、揚げたのをさらに焼いちゃう人いるんだろうな。
パンカツ2
6枚切りか、揚げて縮んで元は4枚切りかも知れないが、それが2枚サンドした形で出てくる。
中にはブルドックの中濃ソースくらいのが塗られている。
だけ。ただそれだけが、目の前にでろ〜んと置かれている。
見慣れない身にはかなりの衝撃映像だ。言っちゃ悪いが、これ程までに貧乏臭い食べ物は見たことない。いい意味で。ぼったらだって、ただ小麦粉水で溶いただけのもんにソースで味付けただけだから、変わらないどころかよっぽど貧乏臭いが、まだ自分で焼いたり多少とも具があったりする分、料理っぽさがある。
パンカツ中身
それに中がソースだけというのも貧乏学生がティッシュや障子にソースかけて食って飢えを凌いだ的なニュアンスがあり、これを子供のオヤツとして与えてしまうことに不憫さが芽生えてしまう。
しかし実際食べてみると、そんな先入観は一気に吹き飛んでしまう。まさに、この手があったか!?という目から鱗状態。発明したやつ、インド人もビックリだと思うに違いない。
パンカツは揚げることでパンの水分が閉じ込められて、パンの甘みが凝縮されて感じるんですわ。それにカツサンドってカツの衣のチリチリになったカスが少しくっついて油のコクで食べ応え出るでしょ。それがパンに薄っすら纏われてると思えば、もう不味いわけがない。寧ろ贅沢ですよ。
パンカツ横から
親に怒られちゃうけど、旨いからコッソリ醤油をご飯にかけて食べたり、刺身の醤油が残ったのをご飯にかけて食う幸福感、アレに近い。言葉にするともう貧乏臭くてしょうがないんだけど、やるともうハマるという点で共通してるかと。

ついパンカツに夢中になってしまったが、パンカツつまみながらもんじゃも並行してシッカリ焼かせて頂いた。
もんじゃ焼き中1
全メニューカレーに出来るというのでお願いしたら、丼の隙間から窺える汁は黄色く白濁して、カレー粉+ソースが既にインしてるように濃く映る。
実際はソースは後入れなのだが、これが小麦粉が濃く、最初知らずに入れないで食べても余り違和感がない程。とはいえ多少は物足りないのでインする。
もんじゃ焼き中2
具が多いとはいえ丼なので混ぜやすく、今回ベビースターは頼まなかったが具のウインナーとコーンにカレー粉という男の子味爆発で完全にぼったらを彷彿とさせる仕様となった。
もんじゃ+パンカツ

危惧された量も意外とさらっと完食でき、一人もんじゃパンカツ飲みを完遂し、大満足。
帰りしな、御主人に少々話を伺えた。パンカツが最も食べられていたのは戦後間もない60年程前で、駄菓子的なオヤツとして、当然駄菓子屋にもあったようだが、リヤカーで売りに来るスタイルが主だったという。
今ではリヤカー売りや駄菓子屋も無くなったそうだ。どうせなら原初スタイルのリヤカーで食べたかったが、こうして地域に根ざした店で食べられるだけでも、文化的に消失していく中では幸せな食べ物なのかもしれない。
というわけで、こういうのが本当の贅沢。最高最幸〜♪ ウマウマウマシ!!! ごちそうさまでしたぁ〜

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冬コミC101、受かりやした!!
C101カラー12/31(土) 東5 ヒ−36b @東京ビッグサイト【詳細ページ】
新刊も出しまっせ。
今回は新たな趣向として、オッサンが緑の中でのんびり出来て、ついでにメシ食って一杯引っ掛けられる・・・なんてサイコーな場所を探し回った結果、辿り着いたのが「寺」。
そんな寺のある風景をまとめたのが、その名も『寺食えスタ』
お寺のうんちく一切不要、コレを読んだらオマエも寺食えスタだ!
そして毎年恒例の限定本もやるよ
とその前に、よく考えたら夏新刊の書店委託を開始していたことを告知してなかった【委託先一覧】

冬コミにも持ち込むし、委託先でも絶賛取扱中ってわけで、その『ポテト焼きそばの本』の中から、NACK5のラジオ番組に電話出演した時に触れ、最近も再訪した熊谷の老舗焼きそば店をUPしておこう。


熊谷駅から北へと進み、17号に出る手前辺りに、ポテト入りではないが老舗の焼きそば屋があると聞いたので行ってみた。
徒歩ではまず行かない、市街地から離れた場所のようだが、なんでもかなりの老舗で、特徴的な焼きそばが食べられるというのだから、トライしてみたいっしょ。

バスを降りて歩くこと暫し。広い道にコンビニとドラッグストア以外は普通の住宅しかない風景が続くばかりで、本当にあるのだろうか?
路地
地図を頼りに路地に入ると、真新しい建売の先に激渋の木造1軒屋が見切れた。
あれじゃないのか? 近づくとフライと書かれた暖簾が。ここだこここだ。

外観
本間焼そば店【食べログ】 ★★★★★ 5.0
所在地:埼玉県熊谷市柿沼851-15
公式サイト:http://honmayakisoba.net/

喜び勇んで入店すると、そこには想像以上に枯れた空間が。
店内
空いてるテーブルに着くと、そのオバちゃんが瓶に入った冷水と空のコップを持ってきてくれた。その瓶のラベル書かれた文字は、ポストウォーター!!
これは否が応でも期待が高まる。焼きそば小とコーラを頼む。壁に瓶コーラありますのポスターがあったから。あれみると頼んじゃうよね。
コーラ
専用の容器でキンキンに冷えたコーラで喉を癒やしていると、オバちゃんがじっくりとだがパワフルに焼きそばを炒めている音が聞こえてくる。

暫くして音が止むと、焼きそば小320円がやってきた。
焼そば上から
おおっ、見た目は小でも結構ありますな。
細めの縮れ麺に、キャベツと細かな豚肉が所々に垣間見れる。
これだけではごく普通のソース焼きそばだが、1口食べて見た目と食感のギャップに思わず自分の口を疑った。なんだこれは、麺が今まで食べたことないくらい硬い。でも生っぽいわけではなく、しっかりコシがあって、シコシコとした噛みごたえと若干の粘り腰がある。油もそこそこ乗っかってて、豚肉とともに満足感もバッチシ。
焼そばUP
とにかく喉越しが半端ない。それでいてこの食べごたえ、どこかで食べたことあるような……そうだ、博多長浜豚骨ラーメン! 往年のなんでんかんでんとかの、あのバリカタのバキバキ麺だ。あそこまで極細ではないし、炒めてないから別物ではあるが、あのボキボキ感とスープと合わせたコクの感じは、どこか通底するような。

これはフライも食べないわけにはいかないと、小360円を追加!
フライ
焼きそばは食べてみると見た目よりは小量だったが、フライは小でも結構デカいね。半分に折ってあるから、広げたら直径30cmくらいになりそう。
箸を入れると、バキッとナニかが割れる音が。予め塗ってあるソースで気づかなかったが、かなりハードに焼けている様子。こちらは食感がハードなもんが多いね。
フライUP
食べてみると、中がもうフワッフワ。外側とのコントラストつけすぎじゃね?ってくらい。熱でホカホカになっているが、半ば蒸されたような感じになっているのか、キャベツがシナっとして、甘みが口中に溢れる。
フライも行田のほか熊谷でも何軒か食べているが、これはかなりの上玉ではないか。
熊谷のフライは行田と異なり、統一的な特徴がないというか、店ごとの違いがハッキリとしていると聞いたことがあるが、以前食べたいわ瀬という店は揚げたようなクリスピーさがあって、それと少し方向性が似ているかもしれない。

どちらとも、ありそうでない食感に魅了され、無我夢中で完食。
昭和27年創業というが、この味で昔からだとしたらスゲーエッジが効いてるな。
いやはやウマ過ぎ。感服いたしやした。ごちそうさまでした。

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今度の土曜8/13、コミケC100へ持ち込む新刊が完成した。
内容は、ポテト入り焼きそば(ほぼ)オンリー本で、5年以上越しの企画がいよいよ花開いた。

ということなので、個人的な感慨はハンパないのだが、これまでなかった本だと思うので、よかったら手に取ってもらいたい。
現在、【直通販】受付中
というわけで、ポテト焼きそばとは何ぞや!?という方に、過去にUPした記事を再投稿してみやす。
冒頭で、5年以上前から企画していたことを書いてるので、本当にやろうとしてたんだという証拠の意味も兼ねて、どぞ。
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今年は本当なら、夏にかけて群馬県の太田市を中心に、ポテト入り焼きそばの店を巡って、本にまとめる予定でいた。
しかし自店の移転やら何やらと重なり早々に企画変更せざるを得なくなったわけだが、昨年からチョットずつ準備には入っていた。その時巡った店は本が出来るまでお蔵入りにしておくつもりだったが、いつ出せるか分からないし、それまでに記憶が怪しくなってしまうので(正直いまでも少々怪しい^^;)、ここらで小出しにしていくことに。

これまで『大ぼったら』『だがしめし』と、粉モノ系駄菓子メシを巡ってきたが、分けても北関東、行田のフライ、深谷や伊勢崎のもんじゃに行った際、焼きそばを出している駄菓子屋を多く見かけて、とても気になった。
自分が生まれ育った川口では、ぼったらこと駄菓子もんじゃはあっても、焼きそばは中華屋や土曜の昼に家で食べるもんで、駄菓子という頭がないで育った。しかし過去取り上げた中では川越には太麺焼きそばという駄菓子文化があるし、かの富士宮焼きそばも元々は駄菓子屋で供されていると最近知った。
となると俄然興味が湧いてくるもので、調べていくと群馬には焼きそば文化が根付いており、同時にイモフライも同エリア(群馬県南東部〜栃木南部にかけてが主で埼玉北部にも及んでいる)で食べられていて(正月に佐野厄除け大師に行った時、佐野ラーメンの前に食べた【過去記事】)、特に群馬県太田市の太田焼きそばは、富士宮と並んで日本3大焼きそばの一つとなっているらしい。これらには焼きそばとイモフライが合体したようなメニューも多く存在する。これは行くしかないでしょ!

熊谷からバスで太田入り。病院裏のバス停で降りると、目の前は田んぼしか見えない。少し歩くと、大きめの民家とともに公営住宅っぽい平屋が見えてくる。元農家とか多そうで、それと近隣の工場に勤める人向けに建てたっぽい集合住宅(近くにはスバルの工場があり、こうした郊外の工場が多い)といったところか。
嘗ての水路だろうか、道はややウネウネと蛇行し、車通りを越えた先、灯油とか売ってるタバコ屋売店が目に飛び込んだ来た。
とちぎ屋外観
とちぎ屋正面
とちぎ屋【食べログ】
★★★☆ 3.3
所在地:群馬県太田市飯塚町860-5
紹介サイト:上州太田焼きそばのれん会

どうもここで焼きそばを売ってるらしい。確かに看板には「焼きそば.ポテト」と書かれている。
近づいてみると、餃子のテイクアウト窓口のようなアルミのサッシ窓がある。ここから嘗ては買えたのだろうが、今は機能してる様子が窺えない。
ただ、窓から見える内部では焼きそばを焼く鉄板等の設備が見える。取り敢えず入ってみんべと入口をガラガラっと開ける。中は完全なナンデモヤの雰囲気。コンビニが出来る前はこういうところで取り敢えずの日用品は買えて、お菓子やジュース以外に、チリトリとかタワシとか売っていたものだが。コチラ今は棚は残ってるものの、売り物は殆どなく、灯油の販売はしている様子。
先の持ち帰りコーナーの方を見やると、手書きで焼きそばにポテトフライと書かれたメニューが貼られていた。すると、厨房らしきところの奥からオバちゃん登場(先にリンクしたのれん会のページに出てる方)。ポテトフライはもう終わりだよと告げられる。焼きそばを求めたい旨を伝えると、小・中・大?と聞かれ、サイズを申告すると、徐ろにクーラボックスのような大きな箱の蓋を開け、中から取り出したパック入りの包みを手渡された。売店には食べられるテーブルはなさそうだし、ここは完全にテイクアウトのみなのだなと理解し、お代を払って兎に角店を出ることに。

てっきり中で食えるもんだと思いこんでいたのでアテが外れてしまった。そういえば、さっき横切った車通り沿いが遊歩道みたいになってたなと思い出し踵を返す。
車通りに戻ると、確かに歩道は大きく取られ、花壇のようになった緑の空間にベンチが設えてある。ココで食おっと。

焼きそば小¥250!
とちぎ屋焼きそば小包み
昔、肉屋の惣菜が入ってた油紙のような薄い更紙的包みを解くと、輪ゴムの掛けられた透明パックが現れた。そこに焼きそばがミチミチに入っている。色が黒っぽく、ソースが濃そう。
パチっと手に当たらないように開けると、青のりの掛かった典型的なソース焼きそばがお見え。
とちぎ屋焼きそば小
焼きそばの間から、大きめのジャガも窺える。
とちぎ屋焼きそばUP
早速頂くと、うん、見た目通り典型的なソース焼きそば。方向性としてはテキ屋の味。のれん会のHPにあるように、セイロで蒸した中細麺はやや柔らかめで、慣れ親しんだ食感。手作りというやや濃いめながらクセのないソースが実によく馴染んでいる。関東の一般的な中濃ソースに近い味と濃さ。若干オイリーかな。
ポテトはやや大きくスライスされたのが数切れ、焼きそばに埋もれているのとパックされ暫く置かれていたこともあって、蒸されたような状態にシナッている。これが逆に味を吸って、表面はやきそばにも馴染んでソース味になって美味しい。食感はホクっというより若干シャリめだったかと。多分コレは揚がってんじゃなくて切ったのを炒めたモノだと思うんで、フライは別に食べてみたかったが、まぁイモが食えたんで良しとしましょ。にしても、この辺はフツーにイモが偏在するイモ文化だなと、こういうところからも再認識させられる。

イモも手伝って、小でも思ったより満足感ある。焼きそば自体にこれという特徴や、この店ならではの個性は感じられなかったが、チョットした小間物や灯油入れに来るついでに、おやつ代わりに買って食べるには丁度いい量・値段・味ということなのだろう。だから、飲食店的な体を保つ必要がなく、家でノンビリ食べるから、イートインは根付いていないのかもしれないなと思った。
にしても、道路脇で食うのはチョット勇気がいる。こういう郊外に来たことある人ならわかると思うが、車文化圏だからそもそも歩いている人がいない。すれ違うのは学校帰りのチャリの高校生くらい。歩いてるだけでも浮いてしまうのに、道端で焼きそば食ってたらかなりの変人だ。落ち着かないし、通報される前に帰るべと、とっとと食って足早にその場を去るのだった。
遠征には厳しい環境だが、その分、地域密着の店で食べられた気がする。うん、フツーに美味しかった。ごちそうさまです。
さて、折角来たんでもう数軒巡りますか。

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(初出:2016/09/26「とちぎ屋@太田〜ナンデモヤ的売店で焼きそばを買う」)

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報告遅れましたが、連載しているメシ通の新記事が公開されてやす【あの頃、駄菓子屋さんは「世間」を教えてくれた『オトナの駄菓子もんじゃ飲み入門』】
というわけで参考までに、過去に駄菓子もんじゃを扱ったミニコミで取り上げつつも、当ブログ未UPの駄菓子屋を取り上げておきます。

JR高崎線の深谷駅は東京駅の駅舎に使われたレンガが製造された街にちなんで、レンガ造りを模した駅舎になっている。
まぁその辺の詳しいことはいつかどこかで書くとして、深谷といえばネギが有名だが、嘗ては中山道の宿場町として栄えたようで、旧街道筋には往時の商家らしき立派な日本家屋が見え隠れする。
しかし駅近辺は昭和の頃に栄えたが今はだいぶ寂れているようで、錆びたトタン張りの木造家屋が多い。中には現役のクロンボ食堂なんて店もあったりして、なかなか興味深い駅前風景となっている。
外観
そんなのを見ながら散策していると、平屋建ての木造家屋の前にガチャガチャが並んでいる、如何にも昭和からの駄菓子屋然とした光景に出くわした。
入口N菓子店
★★★★★★★★★★ 駄菓子屋遺産
※ネットで拡散するのを恐れているようなので、店名や場所を非公開とします。

ガラスの引き戸をガラガラと開けると、まるでファミマにでも来たような電子音のチャイムが奥から聞こえてくる。駄菓子屋とは自宅の表を店にして、奥は普通の住居というのが基本なので、客が来たら分かるように鳴る仕組みになっているのだろう。
駄菓子コーナー
入口にいる間ずっと鳴っているので気まずいが、その間に店内を見渡すも、焼き台のようなものは見当たらない。店を間違えたか、もうもんじゃを辞めたのか不安になっていると、オバチャンが出てきてくれた。
もんじゃを焼きたい旨を伝えると、駄菓子コーナー裏の部屋に通された。モロここんちの台所と居間に挟まれた空間には2台、焦げ茶色というか黒ずんだメチャメチャ年季の入った焼き台が待ってた。
店内
これよ、これ。これぞ駄菓子屋もんじゃ。理想的典型的スタイルを現在目撃できようとは。
オバチャンがもんじゃをスタンバってる間、駄菓子スペースに行ってベビースターを調達。一緒に冷蔵ケースから瓶のコーラを抜き取り「ジュースもらいまーす!」と一声かける。このやり取りは正しく小学生時分のまま。
コーラ
ベビースターを揉み解しながら待つ間、まじまじと焼き台を眺めると、あることに気づいた。今はガス線を通しているようだが、この木箱のような形状は練炭式の名残りではないか。
鉄板
台は微妙に傾き、鉄板と台の隙間にもんじゃの生地が溢れないよう段ボールで堰き止めてある。これ鉄板の熱で燃えないのかなぁと思ったら、オバチャンがガスに火を入れに来た時、真ん中ら辺の盤がシルバーの部分で焼いてね、とレクチャーを受けた。
この意味は焼き始めてスグに分かった。鉄板の熱くなるのがセンター近くのみだったのだ。皆が焼いてる部分は鉄板もピカピカってこと。この辺の経年劣化加減とか、そのまま焼き手の子供側にコツを委ねる感じがモロに駄菓子屋もんじゃチックで郷愁を誘う。

するとオバチャンが奥からもんじゃを持ってきた。1つ200〜300円だったかな。ベビースターとジュースで400円しないくらいだった記憶が。
もんじゃ
いよいよ焼き始めるが、生地がヤケに白っぽい。これ、玉子がデフォで入っている。この店の仕様か深谷もんじゃの特徴かもしれない。これがとてもマイルドで、主張のあるソースの味と引き立てあってバランスが絶妙。
もんじゃ焼いてる
ソースはこのエリアで殆どのもんじゃのシェアを占めているという本庄のタカハシソースなのだろうか、ここが深谷もんじゃの味の決め手なのかもしれない。
生地自体はユルめで、オヤツもんじゃらしさを保っている。その分、焼けない部分に生地が流れ出すと、カントがついてる分、溝に流れやすい。後半汁が多くなると流れやすくなるので、なかなかに緊張感があるもんじゃだ。
もんじゃUP
所謂ハガシのポジションにあるヘラが細長い台形と、ここと大洗でしか見たことない独特の形状で、これで一生懸命汁の流出を防ぐのだ。縁に角度がついてて掬いやすい形状なのもよく考えられている。これだけ特注なのだろうか。

気を張りつつも完食。ホンモノの駄菓子もんじゃを思いっきり堪能できて心地いい満足感で全身が満ちた感じがした。
会計時、オバチャンにお話を伺うと、ここでもやはり子供がもんじゃを突きに来るケースが減ったという。というのは放課後、駄菓子屋にたまりに来るというカルチャー自体がなくなりつつあるらしいのだ。外にいてもゲームやってるというのもあるが、自分らが子供の頃もゲームはしてた。しかし、駄菓子屋のゲーム台で他人のプレイを見たり、学年上や他校の子どもとの間合いの取り方を学んだりして、これという目的もなく駄菓子屋に集まったものだ。
しかし今は子供がもんじゃ食べに来ても、満席だったりすると帰ってしまったりと、駄菓子屋にタカって友だちや他の子とコミュニケーションとるようなことはないらしい。子供の数以前に時間や場所の使い方が変わっては、駄菓子屋もんじゃの衰退も時の流れなのかもしれない。

なんだか感傷的になってしまったが、最後に記念にこの超貴重な空間を写真に収めたいとお願いするも、あまりいい返事が頂けず、駄菓子売り場と外観程度にさせてもらった。頑張って調べればわかるので、行きたい方は自力で調べ、自力で来たと伝えて頂きたい。

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やっと、これまで追いかけてきた駄菓子屋で食べるもんじゃ文化についてUPでけたー
もんじゃ完成
あの頃、駄菓子屋さんは「世間」を教えてくれた【オトナの駄菓子もんじゃ飲み入門】

…今現在、駄菓子を扱いつつもんじゃを出している定食酒場「本所かえる本舗」にてマスターを交え、駄菓子屋研究家の土橋さんにもんじゃと駄菓子の関係性や文化について語りあってきました。自分のライフワークでもあるので、渾身の記事となりました。是非ご一読下さい。
※土橋さんのブログでも紹介いただいています。
駄菓子屋(Dagashiya)探訪ブログ:アタマとココロに、ごちそうを! 〜RECRUIT社 メシ通 駄菓子屋もんじゃ編〜

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