●JR東日本の新たな列車旅のヒントを提案するサイト「びゅうたび」で記事を書かせてもらいやした。というわけで、東北に関連して昨年、仙台に行った話を書いておきますか。
大衆食ライターが麺料理の宝庫岩手へ。すすってすすりまくる男ひとり旅
…盛岡から第三セクターになったIGRいわて銀河鉄道に乗って焼きうどんを食べまわって、盛岡市内で近代建築を巡る道中記
仙台はだいぶ昔に降り立ったことはあるが、個人でゆっくり歩き回ったことはない。
本当は源氏という酒しかメニューにない居酒屋(酒を頼むとツマミになる料理がセット出でてくるので、3〜4杯と飲むと自動的にそれなりの料理を食べることになるらしい)に行きたかったのだが、所用の合間に小1時間しか暇がなく、晩御飯も食べたかったので断念。
駅前に丸昌という安くて雰囲気良さそうな大衆酒場があって、ここならサッと飲んで〆に何か食べれそうとも思ったが、店のある路地には20人くらい行列ができていた。仙台での飲みは諦めざるを得ない。
にしても、ほぼ初めて目にする一大ターミナルの駅前は非常に新鮮に映った。

ビルが多く、行き交う人も背広姿の勤め人ばかりで、都心の駅前とあまり変わらない印象だが、大手チェーン以外の飲食店にどうしても目が行ってしまう。
盛岡にもあったが、高田馬場にある京都ラーメンの末廣ラーメン本舗があった。新福菜館から枝分かれしたチェーンで、東北方面が主戦場とは聞いていたが、こんな駅前で派手に展開していようとは。ここのラーメンや焼き飯は大好物で、盛岡で食べそびれているので寄ってみたくなったが、仙台といえばもう一つ、有名チェーンなのに独自性があると何十年も前から聞いていたあそこに行くしかない!
ハピナ名掛丁のクリスロードという人で賑わうアーケード商店街に入って暫くして右手、ツルハドラッグとダイソーの先、草履が並ぶ履物屋の隣に天下一品を発見!

天一かよ!?と思われるかも知れない。でも仙台の天一は以前は天下一品こむらさきと言って、九州は熊本ラーメンの有名店、こむらさきの支店(昭和56年創業)で天下一品が食べられたのだ(天下一品取扱開始が昭和60年【公式サイト:こむらさきのあゆみ】)。どんな組み合わせなんだ!!夢か!?と、豚骨醤油ラーメン全盛だった当時、この店の存在を知って、エラく興奮した記憶がある。こむらさきグループの天一は現在3店舗あり、一番駅に近いのがこの中央通り店となっている。

天下一品 中央通り店【食べログ】 ★★★★★ 5.0
所在地:宮城県仙台市青葉区中央2-6-6
こむらさきグループ公式サイト:http://goodnews-21.com/
しかし看板はあれど、店舗らしき入口は見当たらず。以前よく浅草などにあった、丼の上で箸が上下するディスプレイがあるのみ。
通路の奥に店があるのかと進むと、どうやら地下に店があるようだ。

階段を降りると、なにやら壁にベタベタとチラシやポスターが異様に貼られている。ラーメンに関係ありそうなものからそうでなさそうなものまで、カラフルというか何というか、極彩色の洪水状態で、アキバにこういう店ありそうだなというチョット無国籍なノリ。

お祭り状態のゲートを潜ると、横に長い店舗にようやくたどり着いた。L字カウンターのみで、想像してたよりかなり狭い。
入口脇の券売機には、「天下一品ラーメン」というボタンが。天下一品なのだから、ただ「ラーメン並」だけでいいと思うが、ここがこむらさきグループたる所以。以前はこむらさきのラーメンがデフォだったので、それと分けるために天一味の方は「天下一品ラーメン」と表記する必要があった。
現在は完全に天一のFC店という位置づけながら、こむらさき時代の痕跡を残しているとは、どこまでオールドファンを喜ばせようとしてくれているんだ。とーちゃん嬉しくて涙が出てくるわ。

店内は8〜9割方埋まっていて、奥の開いてる椅子に座る。厨房で一人黙々と調理するニイチャン店員に食券を渡す。
卓上を見ると、ニンニクがある。

ニンニクなんてどこでもありそうだが、今の天一の多くの店舗では、辛子ニンニクばかりだ。

以前はたまにニンニクオンリーを置いている店舗があった。こっちのほうが味を邪魔しないので好きだったのにな。
待つことしばし、いよいよ天下一品ラーメン¥850の登場!

うぉーっ、器が黒い! 天一のロゴが入った白い器に見慣れた身に、これは新鮮。黒い分、こころなしかスープが白く濃く見える。

レンゲをスープに入れてみると、弾力というかはねっ返しがスゴイ。天一自体最近食べてないので単純に比較ができないので、こんなものだったと言われればそうだったようにも思うが、旅先バイアスがかかっているせいか、通常の天一よりスープ濃度が濃く、より粘り気を感じる。

スープ自体にはニンジンとか、いつもの野菜のツブツブが混ざってて、味自体もゆで卵みたいないつもの味。
麺は透明感のあるツルッとしたもの。

通常の天一はもうちっと白っぽくて気持ちモサッとしていた記憶がある。だいぶ食べてないので記憶が怪しいが、昔の天一の麺に近い気がした。
昔の天一といえばメンマ。以前のはカチカチで細い代物だった。土佐っ子のメンマみたいなやつ。でもいつからか、柔らかめの普通のメンマになった。こここむらさきでもメンマはフツーのだった。
チャーシューも薄い赤身主体のがペラっと1枚乗る感じも変わらないが、やっぱりこのスープとたっぷりの青ネギは最強に合うなぁと改めて通過させられているうちに完食。
都内でも直営がウマイだのと色々言われるが、正直天一にそこまでの味の差を感じたことがない。白河の本店で食べた時もそうだった。
ただ、温度が気になっていて、天一くらい粘度が高いスープはあまり熱いと甘みが感じにくくなる。送られてきたスープを温めてあるだけとはいえ、豚骨ラーメン店が店で炊き出したスープを煮立たせても、提供前に小鍋で温め直すとかしない限り、そこまでアツアツにはならない。
それで食べながら温度が下がって経時変化を楽しめるのだが、いつの頃からかアツアツの天一が一部で増えてきて、完食しても最後の方まであまり冷めずに、せっかくのスープを楽しめなくなった。
温度のせいもあるかもしれないが、ここの天一ラーメンは最初の温度がちょうどよく、最後はヌルくなって甘みがMAX状態で完食できるから、自分にはスープがより美味しく感じられたのかも知れない。
これは記憶が薄れないうちに都内の天一も食べておかないとなと思いながら、店を後にした。
地上に出る階段へ向けて歩いていると、壁にテンを取りたきゃ天下一品というイラストが書かれたポスターを発見した。

受験勉強して立派になるってことだから天下を取るでいいんじゃないかと思ったが、テン=点だと気づいた。
このポスターの下に、仙台「こむらさき」誕生物語なる漫画があるが、こっちのほうをちゃんと写真撮っておけばよかった。と思ったら、公式サイトにちゃんと掲載されていた【公式サイト:仙台「こむらさき」誕生物語】。
何にしても、念願のこむらさき天一が食べられて大満足!
こむらさきラーメンがもう食べられないのが悔やまれるが、これぞ旅先の醍醐味。こういうものに出会えるから、チェーン系も侮れない。
というわけで、いいものが食べられました。ウマウマシ!! ごちそうさんです!
