閉店の報を聞いたのはつい1ヶ月ほど前だったろうか。
自分の行動範囲からは離れた場所ながら、なぜか数年おきに行っている稲田堤。こことか【珈琲家】こことか【酉将】いっていたのだが、たぬきやを知ったのは比較的最近とあって初訪はつい数年前。
過去記事:2015年06月 たぬきや@稲田堤〜アウトドア飲みの極北!
今度また数年後に稲田堤に来る時にはと再訪を誓ったが、それがまさか最期となるとは。
詳細は前回記事に譲るが、今月上旬に見届けた最期となる風景を紹介しておこう。

たぬきや【食べログ】 ★★★★★★★★★★ お疲れ様でした
所在地:神奈川県川崎市多摩区 多摩川土手
駅から真っ直ぐ多摩川に向かって数分、土手に上がって川を見渡すと、こういっては失礼だが小屋のような佇まいは相変わらずそこにあり、営業中と書かれた幟旗も確認できた。
店に近づくと、平日の15時過ぎと開店して間もないにも関わらず、外にあるアウトドア席はほぼ満席。それでも隅っこの席に潜り込みことが出来た。
そして店内に赴き、ジュースが冷えているケースなどが並ぶ受付のような場所で注文するのだが、バアチャンの姿が見えない。焼きとんが焼台で焼けている煙が見えるので、奥のバックヤードにいるようだ。平日からこの人手は想像してなかっただろうし、若い人だって到底1人で回せる人数じゃない。バアチャンのペースに合わせようとのんびり待っていると、「決まった?」なんて言いながら登場。
注文を告げ、まずは飲み物だけ持って席に戻る。
チューハイ¥350でカンパイ!

バアチャン、氷を豪快にぶっこんだグラスにホワイトパックをガンガンぶっかけてつくるのだが、なるほどワイルドで濃いめな一杯になってる。河原でのみにはサイコーの一杯やね。
ツマミはこの状況なので手早くサッとできそうなものをとお新香¥400にした。

それでもそこそこ時間が立ってから呼ばれて取りに行ったが、出てきたものを見て納得。400円って最初チョット強気な値段だなと思ったらこの量ですよ。しっかり浸かってシワもあって独特の匂いも微かに芳しく香る。ショッパさも結構あって、アテには申し分ない。
ポリポリやりながら川を眺めながらのんびりすること30分以上は優に経っただろうか、焼き物が数組分一気に出来上がったようだ。バアチャンの声に数名が入口に群がる。
自分の分を受け取り、席に戻る。前も食べたけど、たぬきやといえばコレだよね。
焼き鳥盛り合わせ塩¥500!

この大ぶりの串で一本100円というのだから恐れ入る。それでもってしっかり焼けてて食べごたえバツグンなのは前回証明済み。今回は前回と組み合わせが違って、左から、とり正肉・レバー・白モツ・つくね・かしら。かなり前回とはバラけたのは嬉しい上に、好物のカシラがカブったのは上出来。初めてレバーを食べたが、臭みなくホクホクに焼き上がっている。粗塩をつけるとしょっぱさに加えて甘みも増して、正肉もカシラも旨みを存分に味わえる。つくねも白モツも間違いない。
本当はニンニクも注文していたのだが、盛り合わせと一緒に出てこないということは、この先のんびり追加注文してたらいつ帰れるか知れない。というわけで、盛り合わせが出てきた段階で、最後の注文をしておくことに。
そこで、なんだかビールを飲みたくなったので、生を注文すると、サーバーからは泡しか出ず。ちょうど売切ということで、レモンサワー¥350を。ハイサワーだったかを今回も豪快に注いでくれた。

同行者は日本酒一合¥350を常温で。

日が傾き始めるとともに寒くなってきたので、熱燗ではないが日本酒だと温まる。
すっかり冷めたがそれはそれでこのロケーションならではの味わいに変化した盛り合わせを突きながら、川をぼーっと眺めつつマッタリ過ごす。

客は後からどんどんやってきて、気づくと店内もほぼ満席状態。客はテーブルを一緒にすると他人同士でも会話が自然と生まれるもので、漏れ聞こえる会話によるとミュージシャンや編集者なんかが一緒にダベっている。そういえば、自分と同じように板橋から来ている人が居て、すっかり身バレしてしまった。
外も気づけばかなり暗くなり始めた頃、おもむろにニンニク焼き¥150が登場。

あ、そういえば1本だった。2本頼めばよかった。バアチャン申し訳ない!
皮を剥がしながらホクホクの身を出して食べる、あの芋類のような食感がタマラナイ。辛めの味噌も実によく合う。あぁ、やっぱニンニク旨いなぁ。これとチューハイとこの景色、他に何もいらないって思えてきちゃうが、こんなふうに楽しめるのも今日で最後かと思うと、なんだか切なくなってくる。
河原ということもあり、かなり日が暮れてくると体の芯から冷えてくる。
そんなタイミングで牛もつ煮込み¥450が出来てきた。

やっぱりトロトロのもつに濃いめの味噌の汁、そこに七味をかけてピリッとくうと文句なしですな。そして実に温まる!
それからさらに時間が経過し最後の一品、焼きそば¥400がやってきた。

これは温まる! バアチャンありがとう!!
麺は通常の蒸し麺かもしれないが、鉄板で結構な量の野菜と焦げが付くまでしっかり焼かれているので、ポリポリしたところと、熱で蒸し状態で柔らかくなったところがあって、このコントラストがアクセントになって、異様に満足感がある。味はサッパリめのウスターソースのような感じがして、味があまりつきすぎてないのが逆に食べ手がある。ツマミというか食事で、肉もバリバリに焼けてて妙に旨い。
ザッパな感じでこのロケーションだから旨く感じられるんだろうと思われるかも知れないが、旨いと思えるんだったらそれでイイじゃん。そういう有無を言わせぬものがこの空間を支配してるんだよね。性別も世代も超えて、みんな嬉しそうに各々に楽しんでいる。
焼きそばを食い終わったら2時間近く、思ったより長居してしまった。後ろ髪を引かれる思いもあるが、もういい加減帰りましょ。
土手を上る手前でふと振り返ると、河原の闇夜にたぬきやの明かりだけが浮かぶ上がっていて、以前見かけた雑誌に載っていた夜のたぬきやの景色を思い出した。

やっぱり異界感というか、日常とは切り離された空間だったなと思うのだった。
2回くらいしか来れなかった自分が言うのも何だが、そういう場所なので閉店間際になって文句言いに初めて来る人とか、そういうのホント勘弁して欲しい。トイレもボットンですから。今日明日で閉店という時に、たぶんバアチャンも最後の力を振り絞るだろうけどとっくに限界だろうから、近所で河原をよく通る人とかのための最終日にしてあげて欲しい。
というわけで、バツグンにウマかったッス!!! お疲れ様でした。
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自分の行動範囲からは離れた場所ながら、なぜか数年おきに行っている稲田堤。こことか【珈琲家】こことか【酉将】いっていたのだが、たぬきやを知ったのは比較的最近とあって初訪はつい数年前。
過去記事:2015年06月 たぬきや@稲田堤〜アウトドア飲みの極北!
今度また数年後に稲田堤に来る時にはと再訪を誓ったが、それがまさか最期となるとは。
詳細は前回記事に譲るが、今月上旬に見届けた最期となる風景を紹介しておこう。

たぬきや【食べログ】 ★★★★★★★★★★ お疲れ様でした
所在地:神奈川県川崎市多摩区 多摩川土手
駅から真っ直ぐ多摩川に向かって数分、土手に上がって川を見渡すと、こういっては失礼だが小屋のような佇まいは相変わらずそこにあり、営業中と書かれた幟旗も確認できた。
店に近づくと、平日の15時過ぎと開店して間もないにも関わらず、外にあるアウトドア席はほぼ満席。それでも隅っこの席に潜り込みことが出来た。
そして店内に赴き、ジュースが冷えているケースなどが並ぶ受付のような場所で注文するのだが、バアチャンの姿が見えない。焼きとんが焼台で焼けている煙が見えるので、奥のバックヤードにいるようだ。平日からこの人手は想像してなかっただろうし、若い人だって到底1人で回せる人数じゃない。バアチャンのペースに合わせようとのんびり待っていると、「決まった?」なんて言いながら登場。
注文を告げ、まずは飲み物だけ持って席に戻る。
チューハイ¥350でカンパイ!

バアチャン、氷を豪快にぶっこんだグラスにホワイトパックをガンガンぶっかけてつくるのだが、なるほどワイルドで濃いめな一杯になってる。河原でのみにはサイコーの一杯やね。
ツマミはこの状況なので手早くサッとできそうなものをとお新香¥400にした。

それでもそこそこ時間が立ってから呼ばれて取りに行ったが、出てきたものを見て納得。400円って最初チョット強気な値段だなと思ったらこの量ですよ。しっかり浸かってシワもあって独特の匂いも微かに芳しく香る。ショッパさも結構あって、アテには申し分ない。
ポリポリやりながら川を眺めながらのんびりすること30分以上は優に経っただろうか、焼き物が数組分一気に出来上がったようだ。バアチャンの声に数名が入口に群がる。
自分の分を受け取り、席に戻る。前も食べたけど、たぬきやといえばコレだよね。
焼き鳥盛り合わせ塩¥500!

この大ぶりの串で一本100円というのだから恐れ入る。それでもってしっかり焼けてて食べごたえバツグンなのは前回証明済み。今回は前回と組み合わせが違って、左から、とり正肉・レバー・白モツ・つくね・かしら。かなり前回とはバラけたのは嬉しい上に、好物のカシラがカブったのは上出来。初めてレバーを食べたが、臭みなくホクホクに焼き上がっている。粗塩をつけるとしょっぱさに加えて甘みも増して、正肉もカシラも旨みを存分に味わえる。つくねも白モツも間違いない。
本当はニンニクも注文していたのだが、盛り合わせと一緒に出てこないということは、この先のんびり追加注文してたらいつ帰れるか知れない。というわけで、盛り合わせが出てきた段階で、最後の注文をしておくことに。
そこで、なんだかビールを飲みたくなったので、生を注文すると、サーバーからは泡しか出ず。ちょうど売切ということで、レモンサワー¥350を。ハイサワーだったかを今回も豪快に注いでくれた。

同行者は日本酒一合¥350を常温で。

日が傾き始めるとともに寒くなってきたので、熱燗ではないが日本酒だと温まる。
すっかり冷めたがそれはそれでこのロケーションならではの味わいに変化した盛り合わせを突きながら、川をぼーっと眺めつつマッタリ過ごす。

客は後からどんどんやってきて、気づくと店内もほぼ満席状態。客はテーブルを一緒にすると他人同士でも会話が自然と生まれるもので、漏れ聞こえる会話によるとミュージシャンや編集者なんかが一緒にダベっている。そういえば、自分と同じように板橋から来ている人が居て、すっかり身バレしてしまった。
外も気づけばかなり暗くなり始めた頃、おもむろにニンニク焼き¥150が登場。

あ、そういえば1本だった。2本頼めばよかった。バアチャン申し訳ない!
皮を剥がしながらホクホクの身を出して食べる、あの芋類のような食感がタマラナイ。辛めの味噌も実によく合う。あぁ、やっぱニンニク旨いなぁ。これとチューハイとこの景色、他に何もいらないって思えてきちゃうが、こんなふうに楽しめるのも今日で最後かと思うと、なんだか切なくなってくる。
河原ということもあり、かなり日が暮れてくると体の芯から冷えてくる。
そんなタイミングで牛もつ煮込み¥450が出来てきた。

やっぱりトロトロのもつに濃いめの味噌の汁、そこに七味をかけてピリッとくうと文句なしですな。そして実に温まる!
それからさらに時間が経過し最後の一品、焼きそば¥400がやってきた。

これは温まる! バアチャンありがとう!!
麺は通常の蒸し麺かもしれないが、鉄板で結構な量の野菜と焦げが付くまでしっかり焼かれているので、ポリポリしたところと、熱で蒸し状態で柔らかくなったところがあって、このコントラストがアクセントになって、異様に満足感がある。味はサッパリめのウスターソースのような感じがして、味があまりつきすぎてないのが逆に食べ手がある。ツマミというか食事で、肉もバリバリに焼けてて妙に旨い。
ザッパな感じでこのロケーションだから旨く感じられるんだろうと思われるかも知れないが、旨いと思えるんだったらそれでイイじゃん。そういう有無を言わせぬものがこの空間を支配してるんだよね。性別も世代も超えて、みんな嬉しそうに各々に楽しんでいる。
焼きそばを食い終わったら2時間近く、思ったより長居してしまった。後ろ髪を引かれる思いもあるが、もういい加減帰りましょ。
土手を上る手前でふと振り返ると、河原の闇夜にたぬきやの明かりだけが浮かぶ上がっていて、以前見かけた雑誌に載っていた夜のたぬきやの景色を思い出した。

やっぱり異界感というか、日常とは切り離された空間だったなと思うのだった。
2回くらいしか来れなかった自分が言うのも何だが、そういう場所なので閉店間際になって文句言いに初めて来る人とか、そういうのホント勘弁して欲しい。トイレもボットンですから。今日明日で閉店という時に、たぶんバアチャンも最後の力を振り絞るだろうけどとっくに限界だろうから、近所で河原をよく通る人とかのための最終日にしてあげて欲しい。
というわけで、バツグンにウマかったッス!!! お疲れ様でした。
